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2006年4月24日

国防の対価

グアム移転、日本分担は59%・60億9000万ドル

 先月、アメリカが在沖縄米軍のグアム移転経費について、実に100億ドルという試算と、その75%の負担を日本に求めてきたニュースは、日本側に非常に大きな衝撃を与えた。まったくもってヤンキーどもは日本をナメておるな。

 とりあえずこの問題に関しては、額賀防衛長官とラムズフェルド米国防長官の間で会談が行われ、本日合意がされたとか。いずれにしろ経費とされる金額が莫大なものである事には間違いなく、政府が今後どのように対応していくのかを注目したい。

 ところで昨今の日本では、憲法9条と自衛隊をめぐり、左右の政治家やらプロ市民やらが激しく争っている。以前からたびたびこのブログで取り上げている「無防備地域運動」も、こうしたサヨクの一派による動きの一つである(ただ、中共の工作員連中を「サヨク」の一言で片付けていいのかどうかには、少々疑問が残るところ)。

 …ここでふと思ったのだが、「自衛隊は憲法違反」などとのたまうそれらのサヨク連中は、上で紹介したアメリカの要求についてどのように考えているのだろう?例えば先日とある番組に出演していたタレントOなどは「戦争はしちゃイカン、自衛隊も反対」と同時に「アメリカにそんなカネを払う必要があるのか?」というような発言をしていたが、大方のエセ平和主義者たちは似たような考えを持っているのではなかろうか。

 だが、このタレントの2つの発言、これは果たして両立させていいものなのだろうか。自衛隊を「憲法違反であり、必要ない」とした場合に、一体誰がこの国を守ってくれると言うのだろうか。

 日本は第二次大戦で敗れた後、平和憲法をもって戦力を放棄した。戦力放棄については、警察予備隊から自衛隊の結成に至る一連の流れの中において「自衛の為の戦力」を確保する事でそれを補う形となったが、それでも戦後から半世紀以上という長きに渡り、日本は極東という地理においてソ連・中国・北朝鮮といった共産主義国家、および軍事政権下の韓国と対峙してきたのである。

 いわゆる「東側への壁」として、日本の軍事的役割は極めて重要なものであったが、冷戦の中で「東側の旗頭」ともいえるソ連や旺盛な領土欲を持つ中国など、核を保有している「敵国」に対して、その戦力は十分なものとはいえない。状況が状況であれば、日本はこれらの国々の侵略を受けていてもおかしくなかったはずだ。

 そのような中にあって、日本が平和を享受しつつ繁栄を続け、敗戦からわずかの間に世界に名だたる国家に成長する事ができたのは、ひとえに「アメリカ」という核の傘=後ろ盾があったからである。無論、経済発展に関しては日本人自身の努力もあったろうが、最小限の戦力しか持てない日本に「十分な抑止力」を提供していたのは、間違いなくアメリカの功績と言えよう。

 いつ頃からか日本では「水と安全はタダ」なんて言われてきたが、決してそんな事はない。ちゃんと国民が対価としての税金を払い、水道局や警察など、それに従事する人間がきちんと役割を果たしてきたからこその結果で、表面上はそれが見えないというだけなのである。そして「国防」もその例外ではない。

 国が国としてのかたちを保つためには相応の「力」が必要であり、これは古来から近現代に至るまで不変の法則である。例えば「永世中立」を宣言しているスイスですら、有事の際には全ての国民が銃をとり、兵士となる。第二次大戦中にナチスドイツがスイスには手を出さなかったのは、まさにこの「法則」が体現されたものである。

 話を戻すが、左側の連中が「自衛隊はイカン」と言うのなら、国を守るための「力」はアメリカのそれに依存せざるをえないだろう。だが連中は「米軍も必要ない」とも抜かす。国を守る力が否定されてしまえば、日本が日本としてやっていく事は不可能だろう。

 ただ、そのアメリカが現在、世界規模で軍の再編を行っている。これは当然日本の国防にも影響を及ぼすものだ。そうでなくても極東情勢が不安定になっている中、日本が今後も「抑止力」を維持していこうとするならば、選択肢は自前で十分な戦力を手に入れるか、あるいは「日米同盟」をできる限り緊密にしていくしかないだろう。どちらを選ぶにしろ、日本の未来と左派の連中の主張は決して相容れないものである。

 今回の移転経費負担問題に関しては、費用が我々の税金である以上、高い安いの論議はできるだけ今後も継続してもらいたい。しかし、この費用を「国防の対価」として考えるならば、それは間違いなく我々が払わなければならないものだと思う。そして同時に、日本が「抑止力」を持つ事に反対している連中には、アメリカの経費負担の要請を拒む資格などないのではなかろうか。

 日本の平和はあくまでも「守られてきた」のである。できるならば、全ての日本国民がこれを自覚する事を望みたい。

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