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2007年2月 9日

投げっぱなしコラム

東京新聞「筆洗」2/9付

【“ケータイ「1人1台」時代”“契約数初の1億件超え”の新聞見出しを横目に出勤。電車の中で、いつも入れている胸のポケットをまさぐって、そのケータイを自宅に忘れてきたのに気付いた▼さあ困った。人と会うのに時間は決めたが、場所は決めていない。携帯電話で連絡を取り合う近ごろの生活・ビジネスのスタイルが、こうなると裏目に出る。ケータイというツールを失って居所定まらぬIT社会の“存在恐怖”を実感する▼契約数は一九九六年に一千万件を突破、「iモード」が始まった九九年に五千万件を超えたのだから、わずか八年で倍増だ。この間の社会基盤の変化は、パソコンの普及、インターネット依存とあいまって短期間で人間のあり方を革命的に変えた▼親子関係、教育現場の混乱、少子化問題、犯罪状況、労働環境の変化の根底にこのケータイの爆発的普及が深くかかわる。評論家の柳田邦男さんが『壊れる日本人』(新潮社)で、二十一世紀型「負の遺産」として「ケータイ・ネット依存症」に警鐘を鳴らしたのは二年前▼柳田さんは、脳の方向感覚を壊す「カーナビ」利用と、無重力下で平衡感覚の神経細胞を失うイモリの宇宙実験を比べる。長崎で同級生殺害の異常行動を引き起こした少女の成育歴に、このケータイ・ネット依存症を見た▼作家で僧侶の玄侑宗久さんは本紙心のページで「車は無制限に増やさせて子供は外で遊ばせず、ゲーム機に浸ることを容認し、どんどん携帯電話を持たせるのも」、売りたい管理したい「大人の欲」と叱(しか)る】

 IT社会に警鐘を鳴らしたいのかどうかは知らないが、メディアによる捏造や情報操作が大きな問題となっている昨今、これだけ投げっぱなし感丸出しの文章が書けるとは、担当記者は神経が太いのか気が回らないのか。いくら文章の制限があるコラムとはいえ「親子関係、教育現場の混乱、少子化問題、犯罪状況、労働環境の変化の根底にこのケータイの爆発的普及が深くかかわる」などと断定するのであれば、たとえ読者が「そんな思いは漠然と感じていた」としても、ちゃんと論拠を示すべきだろうに。

 「戦慄・長崎で同級生殺害の異常行動を引き起こした少女の成育歴に、このケータイ・ネット依存症を見た!(一部加筆)」なんてくだりには、某テレビ局の「2時間スペシャル」を彷彿とさせるものが感じられる。いやはや、「ケータイ・ネット依存症」なんぞよりも「サヨク脳」の方がよっぽど怖い。

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