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2007年8月20日

東京新聞コラム8/19~「内向きの平和」でいいのか?

東京新聞「筆洗」8/19付

【終戦記念日の前後に報道各社が戦争のことを集中的に取り上げる姿勢を「八月のジャーナリズム」と呼ぶ人がいる。年間を通して報道していないと暗に批判している。そういう面が全くないとは言えない。それでも八月が、戦争について考える季節としてふさわしいことに変わりはない▼古本屋で、評論家の大宅壮一が編者の『日本のいちばん長い日』が目に留まった。終戦から二十年後の本で、天皇による終戦放送までの二十四時間に何があったのかを検証している。八月ならではの本との巡り合いである▼放送で流す終戦の詔書の表現をめぐる政府内の対立が興味深い。原案の「戦勢日に非にして」のくだりに対して、阿南惟幾陸相が「大本営発表がすべて虚構であったことになる。戦争は敗れたのではなく、ただ現在好転しないだけだ」と訂正を求めたとある▼米内光政海相らは原案を支持したが、最後は陸相の主張通り「戦局好転せず」で決着した。「栄光ある敗北」にしないと、陸軍内で暴発が起きかねない状態だったのだという。それにしても都合のいい表現を考えたものだ▼原案には他にも直しがあり、よく知られる「堪え難きを堪え…」のくだりの前には「時運の赴く所」という表現が出てきた。敗戦は誰かの責任ではなく、時の勢いや運命なので仕方がないとの意味にも取れる。「好転せず」と同じ発想だろう▼戦後は敗戦の教訓を学ぶことから始まったはずだ。だが、終戦の詔書に刻まれた発想は今もなお、この国の組織のあちこちに残っている気がしてならない】

 「八月のジャーナリズム」という言葉がある事ははじめて知ったが、「八月が戦争について考える季節としてふさわしいことに変わりはない」という部分に関しては概ね同意できる。原爆の日や終戦記念日といったきっかけをもって、平和ボケの日本人に改めてその意味を問いかける事は、決して無駄な事ではないだろう。だが、日本のマスコミが「戦争と平和」について報道する時、私はそこに「年間を通して報道していない」とか言う以前の疑念を感じている。それはサヨの偏向もひっくるめて、日本のマスコミの「戦争と平和」報道が、内向きのものばかりという事だ。

 それらの報道で出てくる戦争体験者たちは大抵「あんな思いはもう二度としたくない」と語る。それは正直な思いだろうし、否定するつもりはない。しかし今この瞬間にも世界の様々な地域で争いが起こり、同じような思いをしている人がいるはずなのだが、マスゴミはそこには決して触れず、「平和について今一度考えてみましょう」などとのたまう。彼らの言う平和とはあくまで「日本の平和(一部マスゴミにとっては『特ア諸国の平和』)」であり、それ以上外に向けて発信されるものでは決してない。

 マスゴミが言うように、日本が過去に引き起こした戦争で多くの国に迷惑をかけたのであれば、それに対する贖罪は、たとえ我が身を傷つけようとも、世界の平和と安定の為に尽力する事ではないのだろうか。世界中の争乱に「うちらは平和だから」とだんまりを決め込むのが「平和を愛する国家」としてあるべき姿なのか。そんな事では世界から信頼されるはずもなく、サヨの金科玉条である平和憲法も、単なる口実としか思われないのが関の山だろう。

 我々の現在の平和と繁栄は、先人が流した血の上に成り立っている。「自分たちが安全ならば他の地域なんてどうでもいい」という考えは「無防備宣言」をはじめ、日本のサヨ思想の根底にありそうな気がしないでもないが、そういう考えこそ真の平和とはむしろ程遠い。だが、連中に限って「地球市民」とか「国際協調」みたいな言葉を使いたがるのは何故なんだろう?不思議でしょうがない。

 蛇足ながら、今年の「八月のジャーナリズム」で個人的に一番「寒い」と感じたのは、戦争体験者の証言VTR(ただし「事実かどうかははっきりしていないが」とVTR中で明言されていた)が流れた後、画面がスタジオに戻ったら、出演者全員が大泣きしていたという某局のニュース番組。そういう「感情の押し付け」みたいな手法が、いつまでも視聴者に通用すると思うなよ?24時間テレビとか。

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