東京新聞コラム12/7~夢想と現実
【学生のころ、衝撃を受けた映画の一つに、長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』(一九七九年)がある▼沢田研二さん演じる主人公の教師がアパートの自室で原爆をこしらえて、日本政府を脅すというすごい筋書き。こう書くと身もふたもないが、一見の価値ある傑作である。主人公は政府との接触の際、核兵器を保有している国だと八つの国名をあげ<だから、おれは九番>と名乗る▼あれから二十数年がたつ。唯一の被爆国としてはどうにもやるせないが、保有国が減ったかというと、周知のように逆である。南アフリカは廃棄したもののパキスタンと北朝鮮が増えて、今なら、あの主人公は<十番>と名乗ることになるのだろう▼核兵器廃絶に向けた決意をうたう日本提出の決議案が五日、国連総会で採択された。残念ながら拘束力はない。日本の同様の決議は一九九四年から毎年採択されていて、何やら年末の恒例行事のようにもなってきている▼賛成は百七十カ国。反対は米国と北朝鮮、インドの三カ国で中国など九カ国は棄権した。賛成は過去最多だそうだが、流れができ始めているわけではない。九四年の初提案の時、反対はゼロだった。米国は二〇〇一年から反対に回り、以来その姿勢を変えていない▼圧倒的多数が廃絶を求めているのだ。もし国連総会がルールを決める場なら世界から核兵器はとうに消えていように。そんな夢想もしたくなるが、今は影響力の小さなことでも積み重ねていくしかないのだろう。ピース(平和)とは、ピース(かけら)の集合だと信じて】
私だったらこの話は、「どれだけ声が集まろうと変えられないものは変えらえれない、平和を守るために必要な力もある」と解釈するが。アメリカや中国・北朝鮮といった国々が性善であると信じて疑わないってんなら、頭狂新聞のような夢想も結構だが、もしそうであったならコラム中にも書かれているように、とうの昔に核兵器は世界から消えていただろう。だが、「アメリカは悪、中国は善」と最初から決めつけている感のある頭狂新聞が、そうした性善説を信じているとは到底思えないんだけどなぁ。
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