「幻想」で命は守れない
【アフガニスタンで拉致・殺害された伊藤和也さん(31)が所属したNGO「ペシャワール会」は2日、福岡市の事務局で緊急理事会を開き、9月末までにアフガンの日本人スタッフ7人全員を帰国させ、現地の水源確保・医療事業はアフガン人スタッフによって継続する方針を確認した。
理事会には、現地代表の中村哲医師(61)や後藤哲也会長(68)ら約20人が出席。閉会後に会見した中村医師によると、まず5人を10日以内に帰国させ、残務整理に当たる2人も今月中に帰国させる。隣国パキスタン・ペシャワル市の病院で働く6人も年内の帰国を検討する。中村医師は5日にアフガンに戻り、活動を続ける。
中村医師は「引き揚げは残念だが、邦人の生命を優先せずに活動への支持は得られない。内戦状態が収まれば、日本人青年が再び現地で汗を流すことがあるだろう」と語った。
また、中村医師は福岡市で10月ごろ、伊藤さんの「お別れの会」を開く考えを示した】
「支援が届かないような所に手を差し伸べる」というペシャワール会の理念は立派ですが、それならなおの事、人員の安全は厳重に守られていなくてはならないはずです。ところが、それに対する中村代表の認識は「我々は民生分野で平和的な活動をしている。だからアフガンの政府・反政府勢力のどちらも我々を攻撃しない、むしろ守ってくれるはずだ」という、あまりにお粗末なものでした。この認識がもう少し確かなものであれば、もしかしたら伊藤さんが命を落とすまでの事態にはならなかったかも知れないと私は考えます。
そして、この一件はそのまま「憲法9条を掲げているだけで平和は守られるのか」という問いの答えになるでしょう。「引き揚げは残念だが、邦人の生命を優先せずに活動への支持は得られない」という言葉に、少しは「現実」を見てくれたのかと思いたいのですが…。
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