東京新聞コラム4/28~国外なんてハナから空論
【多分、交渉ごとで最も重要なのは、正しい交渉相手と交渉する、ということだ。米軍普天間飛行場移設問題で、鳩山首相はそこを誤った気がする▼首相は先の衆院選で、日米合意を見直すにつき、新たな移設先は「国外、少なくとも県外」と言った。そもそもこの後段、「少なくとも県外」が余分だったかもしれない▼妙な合意修正案を含め、沖縄はもちろん、「県内」にノーだ。首相の「腹案」とも目された「県外」候補、鹿児島県・徳之島も明確にノー。各地の人々の怒りは、政権に向かっている▼すっかり“国内問題”になってしまったが、政府にとって、この問題の本来の交渉相手は米国のはずだ。しかも、三月の世論調査によれば、移設先として最多の回答を集めたのは「国外」なのである▼米国は猛反発しようが、あの後段がなく端(はな)から「国外」に的を絞っていれば、政府は少なくとも本来の「日本対米国」の構図で、世論の後押しも受けた交渉ができたろう。まだ遅くない、かどうか微妙だが、妙案がない以上、今からでも「国外」で腹をくくってはどうか▼かりそめにも国民が決断した歴史的政権交代で最初に誕生した首相だ。“国内問題”に終始し、肝心の米国には、国民の本音ひとつ言えぬまま詰め腹を切らされることになってはいかにも惨めではないか。鳩山さんが、ではない。われわれ国民が、である】
交渉ごとで重要なのは、相手に対して真摯な姿勢で臨む事と、いかに相手の主張を聞きつつも自らの利益を大きくするかという駆け引きの手際です。たとえ交渉の相手に間違いがなかったとしても、失礼な態度を取ったり、自らの主張ばかり押し通そうとしたなら、相手から交渉を打ち切られても不思議ではないでしょう。「歴史的政権交代」だか「少なくとも県外」だか何だか知りませんが、十数年に及ぶ協議の末ようやくまとめられた合意を反故にしようというなら、普通であれば代替地の選定や基地移転に関する行程の検討など、話を持ち出す前に最低限形を整えておくべきものがいくつもあるはずです。そうした調整を全く、閣内の意思統一すらも行っていないという鳩山政権には、そもそもアメリカとの交渉のテーブルにつく資格すらなく、問題はただ日本政府にあるとしか思えません。
「今からでも国外で腹をくくっては」などというのも、まったく馬鹿げた話です。「軍隊なんてのは絶対悪!」などと考える、視野の狭い脳内お花畑のサヨクにとっては、在日米軍など「お前らなんて必要ない!」と罵声を浴びせるだけの存在でしかないのでしょうが、現実には米軍の存在は日本の外交・安全保障に密接に係わるものであり、マトモな政治家なら何の準備もなしに「日本から出て行って下さい」などと言えるものではありません。そうでなくても昨今、韓国海軍の哨戒艦沈没事故を受けて朝鮮半島一帯にキナ臭い雰囲気が漂っているというのに、何かコトが起こった場合には「9条バリヤー」だけで日本の安全は守れるんですかねぇ?
…ところで、全然話は違いますがサヨクの皆さん、そろそろあの政権交代に「歴史的」などという冠をつけるのは止めた方がいいんじゃありませんかね?確かに期待はされたかも知れないものの、叩けば埃ばかりで1年持たずに死に体という「歴史的政権」の体たらく、仰々しい冠は見ていて痛々しくすらあるんですが…。
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