改選第一党 自民復調と浮かれるな
【参院選で自民党が五十一議席を得て改選第一党になった。政権奪還に向けた第一歩となるのは間違いないが、党勢が本格的に復調したと言うには程遠い。浮かれている場合でないと、くぎを刺したい。
投開票から一夜明け、自民党の谷垣禎一総裁は「有権者に『自民党、しっかりやれ』という結果を出していただき大変ありがたい。うれしかった」と語った。
昨年の政権転落後の焦燥感から一転、自民党がにわかに明るさを取り戻したのも無理もない。参院選の獲得議席が五十を超えたのは二〇〇一年の「小泉旋風」で六十四議席を得て以来だからだ。
ただ、谷垣氏自身が認めるように、改選第一党という結果は「再生の第一歩が緒に就いた」にすぎない。得票率などを見る限り、有権者は自民党に対してこれまで以上の支持を与えたわけではない。
例えば比例代表の得票率は24・07%にとどまり、31・56%の民主党の後塵(こうじん)を拝している。しかも、〇七年参院選の28・08%、〇四年の30・03%と比べると、明らかに下落傾向にある。
選挙区では七十三議席中三十九議席を獲得し、特に二十九の一人区は二十一勝八敗と圧勝したが、党内でさえ「民主党批判票が、みんなの党候補のいない一人区で自民党に回ってきただけ」とみる。
つまり、自民党を再び政権に就けようという有権者の熱い期待を背負って議席を伸ばしたわけではないのだ。このことは十分、肝に銘じるべきであろう。
その自民党が、衆参で多数党が異なる「ねじれ国会」でなすべきは、改選第一党の立場に浮かれることなく、「責任野党」として政策実現に努力することである。
〇七年参院選で勝利し、参院第一党になった民主党は昨夏までのねじれ国会で「直近の民意は参院にある」として、参院で政府提出法案や人事案を次々と否決した。
しかし、政権交代が当たり前に起こる時代に、そのようなことを繰り返せば、混乱と停滞の政治が続くだけである。
民主党にただ従えと言っているのではない。正すべきは正し、提言すべきは提言する。真摯(しんし)な審議態度を通じて負の連鎖を断ち切ることこそ、長く政権党の座にあった自民党の使命ではないのか。
この際、政権党にも増して重い責任が課せられたと自覚すべきであろう。「無責任野党」に堕さないことが、有権者の信頼を回復する唯一の道なのである】
>〇七年参院選で勝利し、参院第一党になった民主党は昨夏までのねじれ国会で「直近の民意は参院にある」として、参院で政府提出法案や人事案を次々と否決した。しかし、政権交代が当たり前に起こる時代に、そのようなことを繰り返せば、混乱と停滞の政治が続くだけである
それは3年前に、同じ苦言を民主党に呈したのですかな?
>民主党にただ従えと言っているのではない。正すべきは正し、提言すべきは提言する。真摯(しんし)な審議態度を通じて負の連鎖を断ち切ることこそ、長く政権党の座にあった自民党の使命ではないのか
それは民主党に「マトモな政策の立案」「異なる意見を受け入れ、改めるべきところは改める」という2つができていてこそ言える話です。昨日も触れましたが、民主党がアホな政策(例えば「手当」と言いつつ、扶養控除廃止などで実際には負担増の世帯が増えると言われている子ども手当など)ばかり出してくるようなら、元政権党としてはそれを否定せざるを得ない。そうして国政が停滞した時、それは自民党のせいとは言えませんでしょう?
【参考】内閣・執行部続投 誰一人負わぬ責任
【◆しどろもどろ…
民主党政権10カ月への国民の審判が下った参院選投開票から一夜明けた12日。首相の菅直人は平日にもかかわらず、午後3時すぎまで首相公邸に引きこもった。
午前中には幹事長の枝野幸男や官房長官の仙谷由人、国対委員長の樽床伸二らを公邸に呼び、党執行部の続投を決定。菅が目標に掲げた改選議席「54」を10議席も下回った「惨敗」だが、誰一人責任を取ろうとする者はいない。
「自分の発言が選挙戦に大きく影響したのは申し訳なかった。消費税の中身をもう少し説明すればよかった」
菅は12日夕の党役員会で出席者にこうわびた。執行部続投に異論はなし。9月の党代表選を控え、党内に「様子見」ムードが漂う。
12日夜、菅は首相官邸で記者団の取材に応じたが、責任論についてはのらりくらりとかわした。
「役員会でみなさんの意見を拝聴し、理解をいただいた。野党のみなさんの主張もしっかり受け止めて政権運営しないといけない。国民のみなさんにもこれからの政権運営を見ていただきたい」
「辞表を出すのが筋だ」(閣僚)と党内から辞任論が強まっている枝野も12日夕の記者会見でしどろもどろにはぐらかした。
「国民の皆さんから厳しい叱咤(しった)の評価が下ったことを真摯(しんし)に受け止め、どうこたえるか。新たなスタートに立ったつもりで…」
仙谷も同様にごまかした。
「政治家の責任の取り方は、すっきりくっきり一枚一枚カードを取り換えていけばいい、ということではない場合が多々ある」
菅も枝野も仙谷も、野党時代は政府・与党追及の急先鋒(せんぽう)だった。かつての姿は見る影もない。
◆奇妙な均衡状態
だが、党内で菅執行部への不満のマグマはうねっている。それが噴き出さないのは、下手な動きを示せば収拾がつかなくなり、党分裂まで発展しかねないからだ。
「選挙戦の最中に党執行部と(前幹事長の)小沢一郎さんが空中戦を展開した。責任ある立場の人が先頭に立って鉄砲を撃った」
長野選挙区で4選を決めた防衛相の北沢俊美は12日、長野市での記者会見で敗因をこう分析した。北沢は、小沢が主導した複数区への複数擁立戦術で苦戦を強いられた。消費税増税をめぐる菅と小沢の“内ゲバ”が追い打ちをかけ、つい恨み節が漏れたようだ。
親小沢勢力の不満はさらに大きい。小沢系グループ「一新会」事務局次長の松木謙公はさっそく9月の代表選での決着に言及した。
「執行部に責任があるのは当然だ。責任の取り方は自分たちでお考えになればいい。9月の代表選は無投票ではなくしっかりした戦いをやるべきだ。小沢さんの待望論が出るのはうれしいですね。ぜひ頑張ってもらいたい」
一方、一新会会長の鈴木克昌は「あまり政局というか、人事がどうこうだと言っている時期ではない」と余裕の表情を見せた。菅執行部続投を容認したわけではない。決起すべき時期が来るのを待つ。そうみるのが自然だろう。
■うわべの低姿勢「党内優先」隠せず
◆「謙虚に、丁寧に」
12日午前、民主党幹部や閣僚はテレビなどでこれまでの政権運営のあり方への「反省」を相次いで口にした。
幹事長代理・細野豪志「一つ一つの政策を丁寧に野党に賛成していただけるようなやりとりをしていかなければならない」
財務委員長・小宮山洋子「民主党政権になってからの国会運営が乱暴だったという批判もある。本当に丁寧にやっていくしかない」
総務相・原口一博「謙虚で慎重な姿勢がわれわれに足りなかったことを反省しなければならない」
今回の衆参ねじれは、自民、公明両党の連立政権時のねじれより深刻だ。与党の衆院議席は民主、国民新両党で計310議席。全体の3分の2に届かず、法案が参院で否決されれば、憲法59条の規定に基づく衆院での「再議決」はできない。
民主党が、国民にも、野党にも、ひたすら低姿勢で接しようとする理由はここにある。
とはいえ、地金は隠せない。官房長官の仙谷由人は12日の記者会見で、神奈川選挙区で落選した法相の千葉景子を続投させる理由について「9月中に代表選があること」を最初に挙げた。千葉に事実上の不信任を突きつけた「直近の民意」よりも党内事情を優先させる。それに何の疑問も感じていないのだ。
「謙虚」と「丁寧」が合言葉のように飛び交う民主党。再び「国民の生活が第一」というスローガンも多用するようになった。だが、とても額面通りには受け取れない。
◆姑息な政治
「責任の所在なんてものはないでしょ」「消費税…どうってことないでしょ」
山梨選挙区で3700余票差で辛勝した参院議員会長の輿石(こしいし)東は12日、首相の菅直人ら執行部の責任を記者団に問われ、人ごとのようにこう語った。輿石は執行部の一員だが、菅よりも前幹事長の小沢一郎に近い。自分さえ当選すれば後はどうでもよいようだ。
それでも難航が予想される国会運営を見据え、党執行部は水面下の動きを加速させた。民主党幹事長の枝野幸男は国民新党幹事長、下地幹郎にさっそく電話し、「これからもよろしくお願いします」とへりくだった。
9月の党代表選を見据えた合従連衡も始まった。
環境相の小沢鋭仁、衆院災害対策特別委員長の五十嵐文彦ら前首相、鳩山由紀夫に近いメンバー約10人は12日夜、都内の中華料理店で会談し、新たな党内グループ結成に向け、若手に参加を呼びかけることを決めた。外相の岡田克也、財務相の野田佳彦、党選対委員長の安住淳らも都内で会談し、菅を支えていく方針を確認した。
一方、小沢側近の松木謙公、「小沢ガールズ」の衆院議員、田中美絵子らは都内の居酒屋で名古屋市長の河村たかしを囲んだ。「減税派」首長の河村と親交を結び、増税に傾く菅らを牽制(けんせい)する思惑があるようだ。ただ、小沢はこの日も姿を見せなかった。
幕末の志士、坂本龍馬の師の一人である勝海舟は明治維新の30年後、厳しい国際環境に目を向けず、政争に明け暮れる国会のありようを嘆いている。
《今ごろ世間で国家問題といつて居(い)るのはみな嘘(うそ)だ。あれはみな、自分の頭の上の計算(かんじょう)ばかりだ。今日の場合、議員の頭の揃(そろ)ふ揃わんのと気を揉(も)むのも、あまり賞(ほ)めたことではあるまいよ》(「氷川清話」)
国民は、無責任で姑息(こそく)な政治にうんざりした目を向けている】
責任云々を言い出したら、こちらの方がはるかに酷い。どんな事をしても一切責任を取らない民主党の汚名挽回といったところですかな?そういうところが民主党が有権者にダメ出しされた部分でもありますのに…。
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