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2010年11月18日

功績は正しく評価するべき

東京新聞社説11/18~イトカワ微粒子 科学の自信取り戻そう

探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」の微粒子を大量に捕捉していたことが分かった。世界初の快挙だ。最近、勢いが見られないわが国の科学技術に自信と活力を取り戻すきっかけにしたい。

 「はやぶさ」は二〇〇三年五月に打ち上げられ、〇五年十一月、目標の「イトカワ」に着陸し、ことし六月に地球に帰還した。探査機本体は大気中で燃え尽きたが、カプセルは無事、回収された。

 イオンエンジンを初めて本格的に使用し「イトカワ」に到達したことで最初の目標を達成した。燃料漏れに伴う姿勢制御不能などのトラブルを乗り越えて予定より三年遅れながらも地球に帰還。加えて「イトカワ」の岩石試料の採取まで成し遂げたのだから三重の成功といっていい。

 地球や火星など惑星は「イトカワ」のような小惑星が合体して形成されるが、その過程で高温のため溶けて混ざり合うため、初期の様子を伝える情報が失われる。

 小惑星はこうした熱変性を受けていないので地球を含む太陽系の成立時の情報を保存している可能性が高い。小惑星で直接採取した試料が注目されるのは、今後の分析を通じ太陽系の成立の謎の解明につながると思われるからだ。

 隕石(いんせき)の多くは小惑星の破片だが、大気圏通過の際、高温にさらされて性質が変化することが多いうえ、どこから飛んできたか不明などの難点があり、試料としての価値は直接採取に及ばない。

 世界初の快挙を支えたのは地道な研究の積み重ねである。

 「はやぶさ」の開発費用は百三十億円。内外の宇宙開発の中では格段に少ない額である。

 それでも後続の「はやぶさ2」の開発に向けた今年度予算は現政権によって大幅に削減された。

 六月の「はやぶさ」帰還で国民が沸いたのを受けて開発に前向きの姿勢を見せ始めたが、まだ先行きは不透明だ。

 資源が乏しい日本は「科学技術立国」を目標としなければならない。それには常に世界一を目指す必要がある。それでも一位になれるとは限らない。

 わが国が持続的発展のために長期的な戦略で取り組むべきとする「国家基幹技術」の一つ・スーパーコンピューターの分野で、中国は十一月、米国を抜き世界最速の演算速度を達成した。かつて一位の日本は四位と後退は顕著だ。

 政府は国際競争に負けない科学技術の長期的な国家戦略を明確に示す必要がある】

東京新聞「筆洗」11/18付

【日本で初めて動力飛行が成功したのは一九一〇年の十二月。東京の代々木練兵場で、日野熊蔵、徳川好敏両陸軍大尉が、それぞれドイツとフランス製の機体に乗って空に浮かんだ▼ライト兄弟から遅れること七年。鳥のように空を飛ぶことは夢と思われていた時代の出来事だった。新聞には「快挙」「快事」の文字が躍った▼それから一世紀。六十億キロメートルの旅から帰還した探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセル内の微粒子が、小惑星イトカワのものだったと分かった。月と彗星(すいせい)以外の物質を得た世界初の快挙だ▼<日本から南米にいるハエを狙い撃ちするようなもの>と例えられたイトカワへの着陸、そして地球への帰還だけでも大偉業である。採取した微粒子の分析によって、太陽系の起源の謎を解明することに道を開く可能性があるという。夢は大きく膨らむ▼東京・上野の国立科学博物館で開催中の「空と宇宙展-飛べ!100年の夢」に、はやぶさの実物大のモデルが展示されている。イトカワの名の由来になった糸川英夫博士が開発したペンシルロケットも、近くに展示されていた▼敗戦から約十年後、糸川博士が手掛けた超小型の火薬式ロケットが、日本の宇宙開発の礎になった。ここからはやぶさも巣立ったのか。そんな感慨にひたる。おもちゃのようにも見える二十三センチのロケットがいとおしく思えた

【参考】東京新聞社説6/15~2003年11月30日

 何か気持ち悪いくらい「はやぶさ」の偉業を並べている今日の東京新聞ですが、「ロケットがいとおしい」などと不気味な事を書くスペースがあるくらいなら、7年前に日本の宇宙開発について「dekisokonai」などと書いた事をまず謝罪・あるいは撤回されてはいかがなんですか?

宇宙関係は予算増を認めず=再仕分けの最終日-刷新会議

【政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は18日、過去の事業仕分けの結果を検証する「再仕分け」の4日目の作業を行った。再仕分けと、10月下旬に実施した特別会計の見直しを内容とする仕分け第3弾はこの日が最終日。午前は、文部科学省の所管する宇宙航空研究開発機構の関連事業について、2011年度以降予算の増額を認めないとの判定を下した。

 同機構に対し、これまでの仕分けは予算削減などを促したが、同機構の開発した探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」の砂粒の回収に成功し、過去の判定結果に批判も出ている。

 この日は宇宙飛行士の山崎直子さんも出席し、文科省と同機構が宇宙開発予算の重要性を強調。これに対し、仕分け人は「宇宙開発は重要だが、人件費などの削減は可能」として同機構の11年度要求(1900億円)が過大と主張するとともに、今後の資金計画も見直すよう要請。最終的に11~13年度の予算を10年度の水準(1800億円)に抑制する必要性で一致した。

 山崎さんは終了後、記者団に「宇宙開発自体の意義は認める、との仕分け人のひと言はうれしく思った。宇宙開発の意義を説明しきれていない部分もあるので努力したい」と話した。

 また港を中心とした地域活性化策を支援する国土交通省の「港湾民間拠点施設整備事業」(要求額1億8400万円)に対して、廃止とした】

 一方民主党政権は世界初の快挙に対し、「研究は我が身を削って続けろ」とばかりの対応。「2位じゃだめなんですか?」と発言して叩かれた頃と何ら成長していません…。

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