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2010年12月20日

東京新聞コラム12/20~本音も何も

東京新聞「筆洗」12/20付

【<われわれは聞いてもらうよりも、話すことのほうに熱心である>とは、米国の思想家ソローが、「日記」に残した言葉だ。ついやってしまうが、言いっ放しでは対話にはならない▼先週二度目の沖縄入りをした菅直人首相。再選された仲井真弘多知事と米軍普天間飛行場の移設問題で、どんな対話をするのか。十分に準備して臨んだはずなのに思慮に欠ける発言だった▼「普天間の危険性除去を考えた時に、沖縄の皆さんにとっては辺野古はベストな選択でないかもしれないが、実現可能性も含めるとベターの選択ではないか」。この言葉を耳にして、失望しない沖縄県民は少なかったはずだ▼ベターなのは政権にとってだろう。仲井真知事が「こちらは県外へと言っておりノーということだ。ベストとかベターとかの選択ではない。すべてバッドの系列」と不快感をにじませたのも当然である▼現地の思いをくみ取るそぶりを見せていても、知事と話をしたという実績をつくり、政権の延命につなげたいという本音は見透かされている▼菅首相はきょう、小沢一郎元民主党代表と会って、衆院政治倫理審査会への出席を促すという。これも、小沢氏に首相自らが要請したという実績づくりのような気がしてならない。お互いに聞いてもらいたいという気持ちもないまま会談しても、分裂への「儀式」になるだけではないか】

【参考①】首相ヘリ視察は2分…辺野古の抗議住民あぜん

沖縄入りした菅首相は18日、米軍基地を上空から視察したが、日米両政府が普天間飛行場の移設先として合意したキャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沿岸部には2分程度しかいなかった。

 隣接する海岸で移設反対の抗議集会を開いていた住民団体からは、あまりの短さに怒りと失望の声が上がった。

 シュワブ沿岸部に隣接する海岸には、「ヘリ基地反対協議会」のメンバーら約30人が集合。砂浜に全国から寄せられた移設反対の横断幕約100枚を縦10メートル、横35メートルにわたって敷き詰め、「NO BASE!」(基地はいらない)の文字を作り、首相のヘリを待った。

 ところが、午前11時半頃に姿を見せたヘリは、陸側からシュワブ沿岸部突端の辺野古崎まで来るとUターンし、すぐ見えなくなった。その後、辺野古崎北側の大浦湾上空に現れ、そのまま海上を南下して飛び去った】

【参考②】首相沖縄訪問、基地負担軽減策具体案を示せず

【菅首相は2日間にわたった沖縄県訪問で、米軍普天間飛行場の移設問題打開に向け、本格的な取り組みをスタートさせた。

 しかし、県民が重視する基地負担軽減策では具体案を示せず、県側は政府への不満を募らせており、政府と沖縄の溝は広がったままだ。

 「私自身の考え方を首相の立場できちんと伝えた。今後の(沖縄との)コミュニケーションを深めていく大きな一歩になった」

 首相は18日、沖縄県嘉手納町での記者会見で、訪問の成果を自画自賛した。

 前日に仲井真弘多知事と会談した首相は18日は、航空自衛隊の輸送ヘリに乗り込み、同飛行場や移設予定地のキャンプ・シュワブ(名護市辺野古など)など沖縄本島を中心に、7か所の米軍基地について、約1時間半かけて上空視察を行った。

 普天間飛行場にも足を運び、在沖縄米軍トップのテリー・ロブリング在日米軍沖縄地域調整官と会談し、「事件事故のないように一層取り組んでほしい。騒音のさらなる軽減について、より一層努力をお願いしたい」と直談判してみせた。

 首相は今回の訪問で、沖縄県に対し、国のひもつき補助金の使途を自治体の裁量で決められるようにする「一括交付金」制度について、優遇制度を導入するなど振興策を提示した。「振興策と基地負担を交換条件のように扱うのは県民のプライドを傷つける禁じ手」(政府関係者)で、これまでタブーとされてきたが、「事態打開のきっかけにしたいとの強い思い」で決断したという。

 首相は18日の記者会見で「負担軽減は軽減として、振興は振興として、それぞれ政府が取り組まなければいけない課題だ」と強調した】

 これらはもう「現地の思いをくみ取るそぶり」すらしてないんじゃないかな、と。

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