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2011年1月11日

東京新聞コラム1/11~マスコミ不信は各方面に

東京新聞「筆洗」1/11付

【被爆地・ヒロシマで「平和五輪」を開催するという夢はしぼんでしまうのだろうか。二〇二〇年の夏季五輪招致に名乗りを上げた広島市の秋葉忠利市長が、今期限りの退任を表明した▼一昨年十月、長崎市との共同招致に向けた検討委員会の設置が正式に表明されたとき、小欄も「招致活動それ自体が、核廃絶の訴えにつながっていく」と期待しただけに、不出馬は意外だった▼招致のためには、四選を目指すべきではないのか? 最も知りたいことが伝わらない。秋葉市長が記者会見を拒否しているためだ▼会見の代わりなのか、動画投稿サイト「ユーチューブ」に心境を語る自らの映像を投稿した。約十五分間の映像は過去の実績の自賛が目立ち、なぜ辞めるのか納得できる説明はない▼五輪招致の反対意見が世論調査で増えていることもあり、財政面などから招致に疑問を投げ掛けているマスメディアへの不信感が底流にあるようだ。「一方的で曲解した報道が多い」と考えているとしても、最低の説明責任は果たしてほしい。高齢の被爆者にパソコンを開いてユーチューブを見てください、といえるのだろうか▼言いたいことだけをノーカットで伝えてくれる動画サイトは、批判的な質問にさらされたくない政治家にとって都合がいいメディアだ。元ニュースキャスターの秋葉市長に、そんな考えはないと思いたいが】

 「マスゴミへの不信感」ってのは、今やアキバに限った話ではないですよね。「国民の『知る権利』の代弁者」を頼まれてもないのに自任し、そのくせ情報は自分たちの都合よく切り貼りしたものを垂れ流すという、既存メディアの腐ったやり口に辟易している国民は着実に増えているのです。確かにオザワとか、批判的な質問にさらされたくない政治家が都合よくネットを利用するケースはどうかと思いますけど、「最低の説明責任を果たせ」とは、「ネットなんぞメディアではない。国民に向かって意見表明したいなら、まず我々を通せ」などと言われているようで、少々傲慢な雰囲気が感じられなくもありません。つーかアキバに文句を垂れるのなら、オザワの名前も出してみなさいっての!

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