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2011年4月 7日

東京新聞コラム4/7~まず思い上がりを捨てなさい

東京新聞「筆洗」4/7付

【庶民感覚で本質を突く本紙の時事川柳には、はっとさせられることが多い。<専門家こんなにいたのに事故起こる><原発を薦めたタレント知らん顔>。その通り、と膝を打った▼<マスメディア原発後押し一休み>。「原発ルネサンス」などと浮ついた言葉を吐いて、政府が進めてきた原子力政策に無批判だった新聞やテレビへの痛烈な批判と受け止めた▼いま、こんなことを考えている。殺人や汚職事件の取材にかける百分の一の労力を、政局の取材に使う百分の一の知恵を、プロ野球や五輪、サッカーのワールドカップの取材に向ける百分の一の情熱を、国の原発政策の監視に注いでいれば、この人災は防げたのではないか、と▼大地震が起きた場合、原発が暴走する危険性を指摘するなど、原発問題と真摯(しんし)に向き合っている記者は本紙にもいた。残念ながらその警告は大きな流れにはならず、大半の記者は目の前の事象を追うのに精いっぱいで原発の危険性に大きな関心を寄せなかった▼高レベル放射能に汚染された大量の水が海に排出され、漁業への被害も深刻化している。暴走する福島第一原発は解決の道筋が描けない迷宮に入り込んでしまったかのようだ▼マスメディアとして、原発の「安全神話」をつくることに加担した責任を自らの手で問い直さなくてはならない。新聞の再生はそこから始まるのだと思う

【参考】沖縄、米軍への共感じわり 地元紙は「普天間問題に利用」主張

東日本大震災で在日米軍による大規模救援活動が続く中、米軍普天間飛行場の移設問題を抱える沖縄県で米軍海兵隊員らに共感する声がじわりと広がっている。ところが、地元メディアは海兵隊員らの救援活動の実態を詳細に伝える記事や写真を掲載せず、活動結果が「政治利用されかねない」という“旧態依然”の主張を展開している。

 沖縄県民は当初、米軍の救援活動に懐疑的だったが、その後、民放各局や県外紙が在沖海兵隊が自衛隊と協力して支援活動を展開する姿をリアルタイムに伝えたため、実態を知り、海兵隊に対する共感の輪が広がり始めた。

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ近隣に住む自営業者(63)は「若い海兵隊が物資を届けると言って出動していった。何十年も海兵隊と付き合っているが、改めて頼りになると感じた」と話した。

 那覇市のあるホテル幹部(45)も「他国で起きた震災の支援に奔走している姿を見て、沖縄に駐留していてよかったと実感した。今回の震災で紛争解決だけでなく、天災対応も含めた新しい日米安保の必要性を感じた。米軍基地を抱えている沖縄から新しい防衛論を発信すべきだ」と語気を強める。

 海兵隊や自衛隊の支援活動が、沖縄県民の意識を変えさせようとしているといえるが、地元紙の論調は正反対の様相となっている。

 大震災から間もなく1カ月がたつが、「琉球新報」と「沖縄タイムス」はこれまで、在沖海兵隊の支援活動内容を詳細には伝えていない。

 5日現在、掲載された米軍の写真は「新報」が3枚で「タイムス」は2枚。実際に支援活動をしている海兵隊の写真は1枚も掲載されていない。

 一方で、「新報」は3月17日付朝刊で、「在沖海兵隊が震災支援 普天間の有用性強調 県内移設理解狙い 不謹慎批判上がる」との見出しで、在日米軍が普天間飛行場の地理的優位性や在沖海兵隊の存在感などをアピールしているとした上で、「援助活動を利用し、県内移設への理解を日本国内で深めようとする姿勢が色濃くにじむ」と主張した。

 さらに、「在沖米海兵隊の出動までに地震発生から3日かかった。1、2時間を争うかのように海兵隊の対応が強調されているが、迅速性について普天間飛行場の場所が決定的に重要ではないことが逆に証明された」という大学教授のコメントを引用、迅速な展開に疑問を投げかけている。

 沖縄在住の拓殖大学の恵隆之介客員教授(57)は「新報もタイムスも実は海兵隊、米軍への理解や称賛が県民や国民に広がることに慌てているのだ。海兵隊の存在意義、必要性が動かぬ事実として示されているのに、彼らはそれを認めたくない。そこで支援活動の詳細は伝えずにケチをつける。沖縄の言論空間は批判を許さない言論統制をしくどこかの国と似ている」と指摘する。

  被災地での米海兵隊の活動を「政治利用」と主張する沖縄のメディアは、初動の遅れも指摘しているが、実際のところは違うようだ。

 在沖米軍筋や自衛隊筋によると、在沖米軍の立ち上がりは早かった。地震が起きた11日の夕方には、普天間飛行場に配備しているCH-46E輸送ヘリコプター4機が、夜間飛行を敢行。岩国基地から厚木基地に水と毛布を届けた。その後も同飛行場や嘉手納基地から物資を運ぶヘリコプターが順次、本土に向かった。

 一方、アジアから中東にかけて地域紛争が発生した場合、処理に当たる第3海兵遠征軍(MEF)も、第31海兵隊遠征部隊(MEU)所属の海兵隊、海軍兵士合わせて2200人を派遣、支援活動を展開している。

 「琉球新報」は3月18日付の社説で、「在日米軍が普天間飛行場の地理的優位性や在沖海兵隊の存在意義などをアピールしている。強い違和感を覚える」「地震発生から3日経ての出動なのに即応でもあるまい」とし、「米軍がどのようなレトリックを使おうとも、県民を危険にさらす普天間飛行場やその代替施設は沖縄にはいらない」と締めくくっている。

 出動まで3日費やしたと批判しているが、在沖米軍情報筋によると、同遠征軍は地震発生当時、マレーシアに駐留、東南アジア各国やオーストラリアと、東南アジア一帯で災害が勃発したことを想定した災害復旧対応訓練中だった。震災を知り訓練を急遽(きゅうきょ)中止して強襲揚陸艦「エセックス」で被災地に向かった。このため、時間を費やしたが、被災地でも日本側の受け入れ態勢が遅れたため支援着手が遅れたという事情があった。

 一方、「沖縄タイムス」も同22日付社説で「災害支援を理由に現施設規模を維持する必要性を主張する。普天間移設問題が日米間の重要な懸案であることを承知しながら、米軍当局が震災の政治利用を画策しているのなら、文民統制の観点から見逃せない」とし、「震災の政治利用は厳に慎むべきだ」と断じるだけで、支援活動の評価は一切ない】

 このブログでは過去に何度も述べていますけれども、そもそもマスメディアの果たすべき使命とは、世の中で起きている様々な事象について、視聴者が考え、判断を下すために必要な情報を過不足なく提供する事であり、これこそが「国民の『知る権利』に奉仕する」というものになります。しかし、それに対して東京新聞や沖縄のサヨメディアがやっているのは、メディア内部の人間が「こうなってほしい」と考える構想に適合するような情報を意図的に流し、世論をそうした方向に誘導しようというものです。「報道」ではなく「扇動」と呼ぶべきもので、本来ならマスメディアは厳にこれを戒めなくてはならないはずだと思うのですが…まぁメディアの中には、「我々が愚かな大衆を導いてやるのだ」みたいな考え方をしている連中がいるようですのでねぇ。

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