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2011年6月12日

東京新聞コラム6/12~盲目の羊

東京新聞「本音のコラム」6/12付

誰のための政変か 山口二郎

【内閣不信任案を否決するということは、内閣を信任するということを意味するはずであるが、民主党自身が菅政権早期退陣という流れを作ってしまった。何とも筋の通らない話である。この政変で誰がいちばん得をするのか、考えてみる必要がある。

 六月五日、私は菅さんと一時間余り話をした。浜岡原発の停止を決定した後の様々な反発はすさまじかったという話が印象に残っている。首相は具体的なことは語っていないが、六月三日本欄の「菅降ろしに原発の影」という記事は決して憶測ではないと私も思う。

 海水注入中止を巡る騒動も、状況証拠の一つである。おそらく東電側から流されたと思われる偽情報に安倍晋三元首相が飛びつき、首相が中断を指示したと金切声を上げた。さらに谷垣総裁まで国会でこの件を取り上げ、首相を糾弾した。しかし、海水注入は中断されていなかった。

 虚偽に基づく政敵の糾弾という点で、この一件は二〇〇六年二月に民主党が引っかかった偽メール事件と同じではないか。自民党は偽情報に踊らされたことを恥じるべきである。しかし、結果的に菅首相を退陣に追い込んで、反省のかけらもない。メディアも何の追及もしていない。

 安手の陰謀論を振り回したくないが、今回の政変は暗黒政治の到来を感じさせる

 えぇ?偽情報も何も、空き缶が海水注入の中断を指示(あるいは、そう受け取れる発言を)して、福島第一原発の吉田昌郎所長が現場判断でそれに従わなかったからこそ、海水注入は中断されなかったんでしょう?「偽メール事件と同じ」も何も、事実関係の認識が明らかに間違ってやしませんか?

 5日に空き缶と話をしたという事ですが、あのペテン師の言い分を信じ込まされでもしちゃったんでしょうか。単なるバカか、あるいはオブラートに何重にも包んで辛うじて「極めて人がいい」と言えるかも知れませんが、どちらにせよ「政治学者」なんて仕事には向いていないんじゃないかと。

>今回の政変は暗黒政治の到来を感じさせる

 そりゃあアンタのフシ穴の目じゃ、見るモノ全て真っ暗でしかないでしょうに。

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