« 都合が悪けりゃ人のせい | トップページ | これで4連敗 »

2011年6月21日

東京新聞社説6/21~世論を捏造してまで脱原発とな?

国の原発再稼働要請 未来図を国民に示せ

【現在停止中の原発について、菅直人首相が「安全対策が適切に整ったので、再稼働すべし」という方針を明らかにした。脱原発は、本気でしょうか。

 「ありえない」。福島から、原発周辺の住民から、そして多くの自治体の長からも、驚きの声が相次いだ。

 福島第一原発の建屋は無残に吹き飛び、骨組みもあらわな惨状をさらしている。

 被災直後に炉心溶融を起こした原子炉は高熱と放射性物質を出し続け、冷却のための放水は果てしなく続いている。大量に出る高濃度汚染水の捨て場はない。

◆福島は遠くかすんで

 何よりまだ現場では、幾多の現場作業員が、劣悪な条件や健康不安と闘いながら、事態収拾に努めている最中だ。避難区域の住民が、わが家へ帰るすべもない。

 現状打開の期待がかかる米国製の高濃度汚染水浄化装置は、大量の油や汚泥を受け止めきれず、わずか五時間でダウンした。東京電力の説明は、相変わらずの「想定外」だ。

 国中が福島の惨状に心を痛め、当局の言葉や技術に不信を感じつつ、不安の中で推移を見守っているといっていい。そのさなかの唐突な安全・再稼働宣言である。

 国内五十四基の商業原発中三十五基が、定期検査などのため運転を休んでいる。再開への扉は、原子力安全・保安院が電力事業者に指示したわずか五項目の指示と立ち入り検査で開かれた。非常用電源の確保など、当面の津波対策がなされるめどがついたという程度のことだ。中長期的な安全対策には目をつむり、電力不足を懸念する一部産業界の求めに応じ、原子力安全委員会による安全、耐震指針見直しの議論も待たず、夏前の再開を急いだ感は否めない。

◆“政争の具”にするな

 これまでにも保安院は、安全検査の時間短縮を容認したり、老朽化した原発の耐用年数を大幅に延ばしたり、安全軽視の姿勢が目についた。このような態度が、次の過酷事故(シビアアクシデント)につながらないかと、国民は不安を覚えている。

 そもそも、原発推進機関の経済産業省と、原発を監視する立場にある原子力安全・保安院を分離するという方針は、どこへ行ってしまったのだろうか。

 本社加盟の世論調査では、原発について「電力需給に応じて廃炉を進める」など、廃炉推進の声が八割以上を占めている。

 物理学者でもあるドイツのメルケル首相は「福島の光景が目について離れない」と、政府として脱原発に踏み切った。永田町から原発がある地方への距離は欧州からよりも遠く、国民との間に横たわる溝はあまりに深い。

 関係する道府県の知事たちが、「再開のさの字も出る状況ではない」(川勝平太・静岡県知事)などと、驚き、あきれ、詳しい説明を求めるのは当然だ。

 さらなる驚きは、菅首相が経産相の発言を早々と支持したことだ。これで脱原発に取り組む首相の決意が見えなくなった。

 首相は五月上旬、自ら記者会見し、中部電力浜岡原発について、近い将来極めて高い確率で発生が予想される東海大地震への備えが不十分として、全面停止を要請した。その後も原発重視をうたう現行のエネルギー基本計画を「白紙に戻して議論する必要がある」と語った。

 二〇二〇年代の早い時期に自然エネルギーの占める割合を20%に引き上げると国際社会に表明するなど、脱原発に大きくかじを切ったかに見えた。

 しかし、形ばかりの検査で原発再稼働を認めるようでは、首相の“本気”を疑わざるをえない。

 それどころか、首相は消費税増税や脱小沢のように、脱原発を政権延命の道具にしようとしているのではないか。浜岡停止後の世論調査で首相の評価は上がり、退陣を求める意見は減った。

 自民党内には、首相が脱原発を争点に衆院解散・総選挙に打って出るのではないかとの臆測も広がっている。だが、国民が求めているのは、日本の未来を支える具体的なエネルギー像だ。それがないと国民的議論はなしえない。このような大事なことを政争の具にすることは許されない。

◆電力不足はどれほど

 菅政権がいつまで続くにしても、今政府がなすべきは、この夏、原発を再稼働させないと、どの地域でどれだけ電力が不足して、産業や生活が具体的にどのような影響を受けるのか、可能な限り詳しく国民に説明することだ。そして、目前で進行する福島の危機から目をそらさずに、脱原発への道筋を示しつつ、再生可能エネルギー中心の街と暮らしの未来図を描いて見せるべきである

>本社加盟の世論調査では、原発について「電力需給に応じて廃炉を進める」など、廃炉推進の声が八割以上を占めている

 この世論調査とは、19日の東京新聞に掲載されていた日本世論調査会が行った調査で、それによると国内に54基ある原発について「直ちにすべて廃炉」を希望したのは9%、「定期検査に入ったものから廃炉」とした人は19%。最も多かった「電力需給に応じて廃炉を進める」54%と合わせて82%となるものでした。しかし、「電力需給に応じて廃炉を進める」とそれ以外の2つの回答は、その中身の隔たりが少々大きすぎやしませんでしょうか?これを合わせて「廃炉推進が8割!」とは、そりゃ「捏造」というものですよ。

>しかし、形ばかりの検査で原発再稼働を認めるようでは、首相の“本気”を疑わざるをえない

 空き缶の言葉なんぞを信用する時点で既に間違いなのです。もっとも、世論を平気で捏造するような連中の言葉も同じ程度の信用しかなさそうですが?

>脱原発への道筋を示しつつ、再生可能エネルギー中心の街と暮らしの未来図を描いて見せるべきである

 それは政府以上に、原発即時撤廃派の皆さんが示すべきものではありませんでしょうか。彼らが原発で作ったかも知れない電気を使いながら生活したり、脱原発をアピールしたりするのは根本から間違っとると思うのですよ。さしあたっては東京新聞さんが、自社で使用する電力を全て自然エネルギーで賄えるものかどうか、実験されてみては?

|

« 都合が悪けりゃ人のせい | トップページ | これで4連敗 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東京新聞社説6/21~世論を捏造してまで脱原発とな?:

« 都合が悪けりゃ人のせい | トップページ | これで4連敗 »