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2011年8月22日

朝日新聞社説8/22~アサヒこそ病根

なぜ続く短命政権―病根は「参院」「常在戦場」

【また首相が退陣する。

 小泉政権が終わって、まだ5年。なのに、まもなく6人目の首相が生まれる。

 菅直人氏もまた「首相の器」ではなかったのは確かだろう。けれども個人の資質をあげつらうだけでは、ここまでころころと首相が代わる理由は説明できない。もっと根深い問題が、いまの政治にあるに違いない。

 日本ばかりではない。いくつもの先進国で、政治が変調を来している。米国も、国が債務不履行に陥る寸前まで政争を繰り広げた。赤字国債の発行をめぐって与野党がいがみ合った日本と、うり二つだった。

■下り坂で表れる弱点

 変調の原因を解明し、手を打たないと、きっとまた同じことを繰り返す。いったい、何がいけないのか。

 私たちが用いている議会制民主主義は、議会の多数の合意を得て物事を決めていく。

 だが、時に多数派をつくれなくなる。与党内が割れたり、第二院で野党が多数を占めて「ねじれ」が生じたりするときだ。

 そんな症状はもっぱら、経済が苦境に陥り、社会に不満が募るとあらわれる。民主主義は下り坂に弱いのだ。

 いま日本の政治は、負の連鎖のただ中にある。

 (1)少子高齢化で国内市場が縮み、新興国の台頭で競争が激化する。低迷する経済に財政出動で対応し続けて借金がかさみ、その手も使いにくくなる。

 (2)事態を打開できない政府・与党が批判を浴びる。衆参の選挙での連勝が難しくなり、ねじれが常態化する。

 (3)増税などの不人気政策が避けられないのに、選挙を気にする議員に阻まれる。

 (4)多数による合意を得にくくなり、適時に政策を遂行できなくなる。それで国民の信頼を失い、さらに対処能力をなくす。

 少子高齢化などは先進国共通の悩みだ。現に、経済の低迷に財政の悪化、政治の機能不全が重なる国々で、「日本化」の言葉が飛び交い始めている。

■参院での倒閣避けよ

 思えば、戦前の日本も、ドイツも、恐慌などを背景に政党が足を引っ張り合い、短命政権が続いた。迷走の末に、軍部の独走、ナチスの独裁が始まる。

 まさか、同じことは起こるまい。でも民主主義が立ちゆかなくなるのは危うい。

 下り坂の時こそ、政治が機能しなければならない。国民に負担や痛みを強いる政策でも、説得と対話で実行していかねばならないからだ。

 日本でそれができない理由の一つは、「首相のクビ」を飛ばしやすい仕組みにある。

 政治制度が違うので単純には比べられないが、ドイツとの比較は興味深い。

 ドイツは戦後、政治の安定を重視して制度を設計した。戦後の首相は8人だけ。32人目が去る日本とはずいぶん違う。

 たとえば、現職首相の不信任は次の首相の選任と同時にしなければならない「建設的不信任制度」を採用している。日本に当てはめれば、6月の菅内閣不信任案のような、次の政権をともにつくる展望のない与野党議員の連携は成り立たなくなる。

 「つくる」ことができないのに、「おろす」ことができるのは政治を不安定にする。首相を選ぶ力のない参院が政権の命運を左右することも同様だ。自民党の安倍、福田両政権の崩壊などで実証済みであり、速やかに改善すべきだ。

 参院で、首相や閣僚の問責決議をしてもいい。だが、その後の審議を拒むのは行き過ぎだ。そろそろ与野党とも、お互いのために「参院による倒閣」を避ける紳士協定を結ぼう。

■解散めぐる政争排せ

 衆院に小選挙区制度が導入され、2大政党が政権を争う時代になった。有権者が政権を選択できる「光」とともに、対立が先鋭化する「影」も生まれた。

 野党は妥協を拒み、政権を立ち往生させて解散を迫る。「選挙の顔」の価値が下がれば、首相を取り換えようと与党議員も動き出す。それが、短命政権の量産に拍車をかけている。

 こんな政争に明け暮れるのは、いつでも衆院を解散でき、常に選挙に備えなければならないからでもある。

 再びドイツの例を引けば、解散には、首相みずから提出した信任決議案の否決といった厳しい条件があるため、戦後3例しかない。英国はいつでもできるが、キャメロン首相は5年の任期中は解散しないと確約した。日本でも「常在戦場」の現状を改める工夫は可能なはずだ。

 政権が仕事するには一定の期間が要る。その是非を有権者が見極めるにも時間が必要だ。めまぐるしく首相が代わると、判断材料がそろわないまま、好き嫌いで投票することにもなりかねない。

 こうした病根を絶つための議論を、与野党で進めてほしい。民主党代表選は、その第一歩になるはずだ】

 いやぁ、自分たちが自民党政権の頃にどんな文章を書いていたか、微塵も反省の色がない社説ですねぇ。アイゴー!これまで応援してきた民主党政権がピンチニダ!(ピコーン)政治の制度を我々の都合のいいように変えてしまえばいいニダ!(ピコーン)野党と紳士協定を結ぶのもいいニダ!」とか、勝手極まる物言いには呆れる他ありません。

 とりあえず中段の参院批判の部分について触れますと、アサヒは故意かわざとか(笑)、重大な事実をひとつ無視しているようです。それは、「今『直近の民意』を示しているのは参院である」という点です。

 今さら書く事でもないでしょうけど、社説の中にもある「首相を選ぶ力がない」をはじめ、参院の権限のいくつかは衆院のそれに対して弱いものと憲法で規定されています。いわゆる「衆議院の優越」というヤツですが、これは衆院に解散がある事、参院より任期が短い事などから、衆院が「より国民の意思に近い」とみなされているために与えられているものです。しかし現在、前述の通り「参院が直近の民意を示している」という状況が発生しています。民主主義というものを考えた場合、これは無視して判断してもよいものなのでしょうか?

 アサヒも民主党も「国民の意思がどうの~」というなら、解散総選挙をやればいいのですよ。直近の民意が衆院に戻り、その下において新たな政権が誕生したならば、この社説に書いてある問題の半分くらいは一時的にでも解決するのですから。まぁその結果において、民意が民主党を支持するという可能性はほとんどないと思いますがね?とりあえずアサヒを含めた、民主党政権の樹立に加担したアホどもは、全員「病根」として社会から断ち切るべきではないかと。

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