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2011年9月 7日

東京新聞社説9/7~急がば回れ

野田内閣に直言する 日本に外交を取り戻せ

政権交代から二年。首相や閣僚が主導して成果を挙げた外交は見当たらず、混乱ばかりが記憶に残る。今こそ外交を基本から復活させなければならない。

 一年前の今日、尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した。海保を所管する前原誠司国土交通相(肩書は当時)、岡田克也外相は漁船船長の逮捕、送検を強硬に主張した。

 自民党政権時代、尖閣問題をめぐり中国は日本の実効支配を黙認する代わりに、日本も中国のメンツをつぶさないという「暗黙の了解」(外務省高官)があった。

◆欠如した対中戦略

 靖国神社参拝問題で鋭く中国と対立した小泉純一郎首相でさえ、二〇〇四年三月、中国人活動家が尖閣に強行上陸した事件では、自らの判断で送検を見合わせ、強制送還にとどめている。

 船長の送検は中国から見れば、日本が尖閣への実効支配を強化する挑戦に映り、激烈な反発を招くのは明らかだった。ところが、民主党政権幹部には、その自覚も中国に対応する戦略もなかった。

 後に前原氏は「日中の間にそんな約束があるなら、事前に教えてほしかった」とこぼし、岡田氏は中国の対応は「当時、誰にも予測できなかった」と強弁した。

 中国がハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の対日輸出制限まで行って圧力を高めると、政権は腰砕けになり「那覇地検の判断」で船長を釈放した。仙谷由人官房長官は学生運動時代の知人のルートにまで頼って首脳会談実現による緊張緩和を求めた。

 この間、民主党政権が政治主導の象徴として中国大使に送り込んだ丹羽宇一郎元伊藤忠商事会長に新たな訓令は届かなかった。

◆対米一辺倒に転換

 中国に「日中間に領土問題は存在しない」という公式見解を繰り返すほかなかった丹羽氏は「これで外交をしろというのか」と周辺に怒りをぶちまけたと聞く。

 民主党政権の稚拙な対応は尖閣に対する実効支配を損なっただけでなく中国の対外強硬論を鼓舞する結果を招いた。しかし、いまだに政権幹部から真摯(しんし)な反省の言葉が語られたことはない。

 事件は政権交代直後には「東アジア共同体構想」(鳩山由紀夫首相)を掲げ、対中接近の構えを見せた民主党政権の外交を対米一辺倒に転換させることになった。

 「日米同盟の重視」が何より強調され、中国の「高圧的姿勢」(防衛白書)を公然と批判するまでになった。しかし、中国に対するまとまった政策は語られず日中関係は一層、冷え込んだ。

 自民党政権時代、政治家は外交官を使い成果を挙げてきた。小泉首相は田中均アジア大洋州局長がひそかにつないだ北朝鮮とのパイプを使い電撃的に訪朝を実現し、拉致問題を進展させた。

 安倍晋三首相は谷内正太郎外務次官が深めた胡錦濤主席側近の戴秉国外務次官との信頼関係に頼り靖国問題で五年も途絶えた首脳往来を再開し訪中にこぎつけた。

 しかし、民主党政権が政治主導を強調するあまり、外務官僚を政策決定から遠ざけたことで、外務省には「物言えば唇寒し」の雰囲気が広がった。尖閣事件で閣僚が日中の黙契を知らなかったのは、民主党政権を警戒する外務官僚が進言を避けたのが原因だ。

 首脳も外務官僚が用意したペーパーを読むのを嫌い、会談で不規則な発言を繰り返した。鳩山首相が、中韓首脳との会談で「米国に依存しすぎていた」と語り、米国から不興を買ったのは、その代表例だ。

 首脳が自らの言葉で語るのは必要だが、外交的立場を変えたと受け取られかねない不用意な発言をするのは論外だ。各国首脳の不信を招き、建前だけでない突っ込んだ論議をするのは難しくなる。

 鳩山首相も菅直人首相も中国はもちろん、米首脳とも儀礼的会談しかできなかった。これでは普天間問題や東シナ海資源開発をめぐる難局を突破できるはずもない。

 外務官僚に頼る外交は突破口を切り開くことはできず最後は政治決断が必要だ。それには外交官を使いこなし情報を集め、ともに戦略を練ることが欠かせない。

 民主党外交の二年、政治家と外務官僚は間合いをはかるのに終始した。首脳や閣僚も主要国から信頼できる交渉相手と認められていないのが実情ではないか。

◆授業料は払えない

 本来なら民主党政権は国民の審判を受けるべきだ。しかし緊急を要する震災対策が政治空白を許さない。不安があっても外交手腕は未知数の野田佳彦首相、玄葉光一郎外相に期待するほかない。

 日本はもう、外交経験の浅い二人のために高い授業料を払う余裕はない。国民にもその気がないことを銘記してほしい】

 民主党シンパの東京新聞にしては、今日の社説の指摘はおおむねその通りだと思いますので、ここでは1つだけ。

>本来なら民主党政権は国民の審判を受けるべきだ。しかし緊急を要する震災対策が政治空白を許さない

 そうは仰いますけど、現実に民主党政権の下では、震災対策は遅々として進んでないじゃありませんか。過去の同様の案件と比較して、たとえ原発の被災という過去に例を見ない事態への対応を迫られた事を差し引いても、政府の動きは鈍いと断言できましょう。トップが野田に替わったとしても、与党が民主党のままで対応が加速するとは思えません。その野田だって、1年後には民主党代表選でどうなるか判らないのですからね?

 国民の審判を受けずに三たび政権が替わる、自民党政権時代にこれを批判してきた東京新聞なら、ここは「国民に信を問う」意味でも、解散総選挙を求めるべきではないでしょうか。「緊急を要する震災対策が政治空白を許さない」とか言って、あの時はリーマンショックの最中でしたよね?それにもう地震から半年が経とうというのです、このまま民主党政権にダラダラ政治を続けさせるくらいなら、1ヶ月くらいの政治空白は許容しても、選挙を行った方が結果的に復興が早く成し遂げられるという可能性もあり得るのですから。

【参考】中国軍機、中間線越え 海自の情報収集妨害か

中国空軍の戦闘機が8月中旬、東シナ海の日中中間線を越え、海上自衛隊の情報収集機を追尾していたことが6日、分かった。中間線より日本側で戦闘機による威嚇が明らかになったのは初めて。昨年9月の沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降、日本領空に接近する中国機は急増しており、第1列島線(九州-台湾-フィリピン)の制海・制空権確保に向け、空軍の戦闘力強化も本格化させたとみられる。

 中国戦闘機が海自機を追尾するのが確認されたのは8月17日頃。中間線付近の上空を南下していた海自の電子偵察機EP3と画像データ収集機OP3をマークしてきた。

 戦闘機は日本の防空識別圏に侵入した上、中間線も越えてきた。南下を続ければ尖閣諸島に近づく恐れもあり、航空自衛隊が那覇基地のF15戦闘機を緊急発進(スクランブル)させると中国方面に戻った。戦闘機は、Su27かSu30という。

 海自は東シナ海で艦船を警戒監視するためP3C哨戒機を1日1回飛行させている。EP3とOP3の飛行は週に数回で、P3Cより高い高度から中国軍の動向の情報収集にあたらせており、中国側には情報収集活動を妨害する意図があった可能性が高い。

 防衛省によると、昨年4~9月に中国機が日本領空に接近したのは24回だったが、漁船衝突事件後の10月~今年3月の半年間は72件と3倍に急増。4~6月の3カ月間も27件で、前年同期の9件の3倍というハイペースが続いている。

 今年に入り中国軍機が防空識別圏を越え、中間線付近まで侵入してくるケースも目立つ。昨年は3月にY8の早期警戒機型1機が中間線付近まで進出しただけだったが、今年3月に、情報収集機型など2機が中間線を越えて、尖閣諸島周辺の日本領空約50キロまで接近。7月にも2回、情報収集機型が中間線を越えている。

 防衛省は、誘導する地上レーダーの能力向上で中国空軍が戦闘機などをより遠方に展開させることが可能になったと分析。ガス田など海洋権益もからむ中間線をめぐる主権問題で攻勢を強める予兆ではないかとの警戒感も強い。次のステップとして、同空軍が南シナ海で行っている戦闘機への空中給油訓練を東シナ海でも実施するとの見方もある】

 少なくとも東シナ海で起きている現実は、脳内お花畑と売国奴の集まりである民主党にどうにかできるレベルではありませんよ?これ以上の国益が失われないうちに、民主党は下野して頂きたいものです。

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