朝日新聞社説11/15~アメリカの狗にもなったか
【野田首相がハワイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する方針を表明した。
走り出したからには、首相は国内の反対・慎重派に理解を広げる対応を急がねばならない。
同時に首相には、外交面での強い覚悟を求める。
関税ゼロを原則として、人、モノ、カネすべての移動を自由化しようというTPP交渉は、日本にとって厳しい展開にならざるを得ない。
だからこそ、世界第3位の経済大国、環太平洋地域の主要国として、新しい貿易や経済のルールづくりに、どのように主体的に参画するかを宣言し、その覚悟を説明すべきだ。
オバマ米大統領との会談後、米国側は「首相が『すべての物品及びサービスを交渉のテーブルに載せる』と発言した」と発表した。日本政府は否定しているものの、交渉の原則が「例外なし」であることは、厳然たる事実だ。
今後も交渉の過程で、さまざまな「行き違い」や「衝突」があるだろう。そのたびに、自国に有利な環境づくりのための火花が散る。
米政府によれば、米国とともに北米自由貿易協定(NAFTA)を構成するカナダ、メキシコが交渉参加の考えを伝えてきたという。これなど、日本が両国に影響を与えたとも見える。
TPPには、世界第2位の経済大国になった中国に対抗し、米国主導のルールをつくっていく狙いもある。
日本外交の基軸は「日米」であり、米国との関係強化を起点に外交を立て直すのは順当だ。その意味で、TPPには「対中カード」という側面もある。
しかし、地球規模で経済の相互依存が深まったいま、中国抜きの経済体制はあり得ない。ここは米国一辺倒に陥らずに、中国やアジア各国との関係改善、強化も急ぐ必要がある。
首相はAPECで「アジア太平洋自由貿易圏に主導的役割を果たしたい」と語った。
それならばこそ、日中韓の3国間や、ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(日中韓)の自由貿易協定も進めて、成果を上げよう。それらが「対米カード」にもなるはずだ。
これから日本が果たすべき役割は、TPP経済圏と中国とのつなぎ役になることだ。
米中双方に利益をもたらす難しい役だけに、これまでの受け身の外交姿勢を改めて、したたかに米国にも中国にもモノを言わねばならない】
「米中双方の利益を」とか何とか言ってますけど、こういう協定に参加しようという場合、まず優先すべきは「日本の利益」であるというごく当たり前の事が、この文章からは全く感じられません。いくら交渉参加を表明したからと言って、その内容が国益に適わない(むしろそうなる可能性が高い)ようであれば離脱も検討されるべきですし、国家間の関係についても、自国にデメリットをもたらしても友好的であった方がいいというのはお花畑の発想です。まぁ、タイトルの「受け身では道は開けぬ」という部分はまだ理解できますけど、問題は野田政権に攻めていくだけの交渉力も期待できなければ、TPPについては既に日本が自国の主張を述べられる段階ですらなさそうだという事なんですよね…。
【参考】「TPP、日本参加で交渉遅れ許されぬ」マレーシア首相
【環太平洋連携協定(TPP)拡大交渉の参加国、マレーシアのナジブ首相は12日、将来の日本の交渉参加について「原則的に賛成だが、交渉を遅らせることは許されない」と述べた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれた米ハワイのホノルルで、共同通信などの会見に応じた。
交渉に参加するには現在拡大交渉中の9カ国の同意が必要。ナジブ首相は「すでに合意された事項について再交渉はありえない」として、これまでの交渉で9カ国が合意した通商ルールを受け入れることが日本参加の前提だと強調した。
また、ナジブ首相は、同日開催の首脳会合で9カ国が「来年7月の交渉妥結が望ましいとの認識で大筋一致した」と明らかにした。
一方、「残された作業は多い」と発言。「(来年は)参加国の一部が選挙を控えており、保護分野について繊細な扱いを要する」として、市場アクセスなどで難航する交渉の行方が不透明であることを示唆した】
こういう「手遅れ」的な報道まで出ているのに、未だに「俺たちの戦いはまだこれからだ!」「国内の調整を急げ!」みたいな主張をしている連中は確実にバカなんだろうなと。ハッキリ言ってしまえば上のアサヒを含む全国紙の記者どもなんですけれどね(笑)?
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