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2011年11月 1日

格付け会社ってどんだけクズなんだよ

独白 国債編<上> 国の格付け 客観的手法など確立されてない

【◆ムーディーズ40代元社員

 この夏、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債を歴史上初めて格下げして騒がれたけど、そんなに大ごとだとは思わなかった。なぜなら、ソブリン(国債)の客観的な分析手法なんて実のところ、確立されていないから。

 格付けは、平たく言えば将来的にデフォルト(債務不履行)する可能性を「Aaa」から順番に表した記号。ムーディーズは百年以上の歴史の中で、一般企業がどういう経営状況になれば破綻するかは、実際の会社のデフォルト事例を分析・蓄積し、それを判断の基準にしている。

 でも、国債の場合、国家がデフォルトした例なんて数えるほどしかない。日本みたいに財政が真っ赤でも大丈夫な国もあれば、ちょっとでも対外債務が悪くなるとデフォルトする国もある。かつてのアルゼンチンとかね。税制や経済成長、対外債務がどうかとか、個別要素が多すぎて、一つの物差しで判断できない。

 ムーディーズには、格付けを決める「格付け委員会」というのがある。一番意見がまとまらないのがソブリンだね。

 基本的に同じデータや分析リポートを見ているのに意見が割れるのは、見る人によって違っているからでしょ。そんな記号をうのみにできますかっていう話。実際、A格の国債がデフォルトした例はない。AaaでもAa1でも、象徴的な意味でしかない。

 それでもソブリン格付けをするのは、投資家が求めるし、それがビジネスになるから。例えば、A格以上の会社や国債にしか投資しない投資信託なんかよくあるけど、格付けがないと投資できない。前提となる格付けが必要になるから。

 格付け会社側とすれば、格付けする際に作った詳細なリポートも売れるし、結構良い金になる。だから、何でもかんでも格付けをしたがる。十年前に株式上場してそういう傾向が強くなったかな。

 上場後、米国本社の社長が日本に来て最初に話したことは何かというと「去年の売り上げは?」ですよ。格付けの的中率だとかの話をするならともかく、お金の話を最初にするのは変だよね。

 ソブリンの格付け制度が成熟していないのは事実だけど、格付け会社の指摘は無視しては駄目だと思う。ムーディーズは八月に日本の格付けを一段階下げAa3にしたけど、政府の税収コントロールができなくなってきたとか、将来の明確な財政プランを持っていないことが理由だった。

 日本国債の危機は、十数年前からいわれているのに価格が安定しているのは、債券の七不思議。でも、巨額の借金は現実にあって、パッと消せるマジックはない。そろそろ、どう減らしていくか真剣に考えないとまずいんじゃないのと思う。

<格付け会社とは>投資へ信頼の目安提供

 格付け会社の元社員は「大したことでない」というが、米国債をはじめ欧州の債務問題などで日本やスペイン、イタリアなどの国債も相次いで格下げされ、各国株価や債券価格など市場に影響を与えている。そもそも、格付け会社とは何か。 

 Q 格付けとは?

 A 国債を発行する政府や社債を出す企業の財務状況や経営状況などを分析し、元本や利息が約束通り支払われるかどうかを評価して、投資家にその情報を提供している。最も安全性の高い「トリプルA」から、資金の返済ができなくなる債務不履行の危険性が最も高い「シングルC」まで、二十一段階にランク付けするのが「格付け」。

 専門の民間企業が行い、米国のムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、米英系のフィッチ・レーティングスが三大格付け会社と呼ばれる。

 Q 国債の格付けに対し代金は誰が払うのか?

 A 国債の格付けは「勝手格付け」。格付け会社が勝手にやっている。分析リポートなどは売れるというが、格付け自体は無報酬だ。収益が出るのは、企業の依頼を受けて行う格付け。企業は自らの信用力を示して投資を呼び込む目的などで依頼、代金を支払う。

 国債の格付けを行うのは、企業が立地している国の信用度がその企業を判定する基礎になるからだ。

 Q 格付け方法は?

 A 企業の依頼格付けの場合、財務諸表や経営指標などの公開データを基に分析し、経営者や財務担当者らから聞き取り調査なども行う。その上で、複数のアナリストでつくる委員会で議論し、最終的には投票で決める。

 国債の場合は、国の累積債務などの財政データに加え、政治情勢や物価、金利なども考慮する。

 Q 格付けは正しいのか?

 A そうとは限らない。八月にS&Pが米国債を格下げする際、米財務省の指摘で、政務債務を二兆ドル多く見積もる計算ミスが発覚したが、S&Pは格下げを断行。信頼性に疑問符が付いた。

 格付けは、金融商品についても行うが、二〇〇八年の金融危機の引き金になった低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)を組み込んだ金融商品は高い格付けだった。投資家は安心して取引していたが貸し倒れが続発。これを機に、金融庁は格付け会社に立ち入り検査を可能にするなど、規制強化を図った。


 「格付けは、一民間企業の『意見表明』にすぎず、過信は禁物」(元格付け会社幹部)と警鐘を鳴らす声もある】

 まぁ、かつてサブプライム債に高評価をつけてたような連中の実態ってところではこれまでいろいろ見聞きしてきましたけど、いざこうして記事を読んでみるとホントいい加減ですよね。こういう連中の指摘を「無視するな」って方がおかしいと思います。

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