東京新聞コラム4/3~都合のいい言葉ばかり
【地球を直径百センチの球に縮めてみると、太陽は東京ドームほどの大きさだ。一〇〇ワット電球が百四十億個分の明るさで、十二キロ先に輝いている。エベレストは〇・七ミリ。最も深い海溝は〇・九ミリ。人間は十万倍の顕微鏡でやっと見られる大きさだと、絵本『地球がもし100cmの球だったら』(文・永井智哉、絵・木野鳥乎)が教えてくれた▼こんなちっぽけな人間が、自然の力を制御しようと英知を積み重ねてきたのが科学の歴史だ。その限界を突きつけたのが昨年の大震災だったが、新たに公表されたデータは衝撃的だった▼内閣府の有識者会議の推計によると、駿河湾から四国沖に延びる海溝「南海トラフ」で最大級の地震が発生した場合、六都県で津波が二十メートルを超える危険があるという▼浜岡原発のある静岡県御前崎市でも、建設中の防波壁を上回る二十一メートルの津波高が予想されている。「想定」が出された以上、浜岡原発の再稼働は事実上、不可能になったといえるだろう▼最新の首都直下地震の震度予測で、東京二十三区や川崎市は震度7の揺れに襲われる可能性も明らかになった。危険と隣り合わせの現実を思い知らされた▼昨年、マグニチュード(M)5以上の地震は全国で例年の五倍程度の七百回以上発生した。地殻変動が活発化する地震列島で、五十基を超える原発と共存できると本気で考えるのだろうか】
今回新たに公表されたデータとやら、去年さんざんメディア(特に反原発寄りの)が「想定外は許さない!」と喚いただけに、多少大きめの数字を出してきているような感じがしなくもないですが、それでも去年の震災を経験した後で、そんなに衝撃的な内容とは思えなかったんですがねぇ…。狭い日本、南海トラフ辺りで大きな地震が起きれば、国土の大半が影響を受けるでしょうし、地盤だって均一なワケじゃないんですから、局所的に震度7級の揺れに見舞われるところが出てくるのも当然の事でしょう。日本という国は地政学的に考えても、地震多発地帯にあり、台風の通り道にあり、中国や朝鮮が近くにあり…と、まぁ「恵まれてない」と断ずるに躊躇いはありませんな(笑)。
ただ、そうした「災害が多い国」であるならば、防災対策のため、あるいは災害によりダメージを受けたインフラ等を速やかに復興させるため、公共事業は「国民の生活や安全を支えるもの」として重要視されなければならないはずなのです。確かに自然の力に比べれば人間の英知など微々たるものでしかありませんが、だからと言って何もしないという事はあり得ません。しかし現実には公共事業は「税金の無駄遣い」として悪玉扱いされ、「コンクリートから人へ」なんてフレーズを掲げた政党が政権を奪取し、その政党を東京新聞は「政権交代すれば国民生活は全てバラ色になる」かのように書き立て、ずっと支援してきたワケです。この辺、書いている事が矛盾してると思いませんか東京新聞さん?
まぁ東京新聞に限らず、メディアがこの手の文章を作る時には、その多くがまず「政権交代」や「脱原発」といった結論があって、そこからそれを支えるように話を組み立てていくやり方をしますのでねぇ…しかもその結論とやらは、論理ではなく観念的なものから導き出されたものばかりですから、それらを全体的に見た時には容易にこの手の矛盾が出てくるワケですよ。その時々において、自分の都合に合わせたような言葉しか口にしない、そういう連中はまず信用には値しないかと。
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