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2012年5月29日

東京新聞コラム5/29~スコットランドの羊

東京新聞「筆洗」5/29付

【<自分を認め様(よう)とする言葉はなんて/相手を非難する言葉と似ているんだろう…>。故河島英五さんの初期の作品「かけがえのない人」にこんな歌詞がある。自分を守りたいが故に誰かを責めてしまう。誰でも思い当たる節はあるはずだ▼保身と非難は表裏一体ともいえるが、東京電力福島第一原発の事故を検証する国会調査委員会の参考人招致でも、強く批判することで自らや組織を守ろうという姿が垣間見えた▼菅直人前首相の現場視察や吉田昌郎所長(当時)に直接、連絡を取ったことを「混乱の極みで所長は指示をし、指揮を執らなきゃいけない。そんな時に質問的な話で時間を取るのは芳しくない」と批判したのは、東電の勝俣恒久会長だ▼きのう、参考人に呼ばれた前首相は「東電から派遣されたフェローはほとんどのことが分からなかった」「分からないと言われるのは、本当に困った」と東電や保安院に矛先を向けた▼事実が究明されるなら批判の応酬も結構だが、東電が全面撤退を政府に打診したかどうかは結局、分からずじまいだ。混乱と不信感が渦巻く中の「伝言ゲーム」が招いた「迷宮」に思えてきた▼前首相の質疑を聞いて痛感させられたのは、この国の政治家や官僚、電力会社には、破局的な事故を起こす可能性を秘める魔物を扱う能力も資格もなかったということだ。そして、それは今もない

 海外のジョークの中に「スコットランドの羊」というものがあります。
 
【学者がみんなでスコットランドを旅行していた。
 すると列車の窓から黒い羊が見えた。

 天文学者「これは驚いた。スコットランドの羊は黒いのか。」
 物理学者「いいや、正確には、スコットランドには黒い羊もいる、ということだ。」
 数学者「いやいや。厳密には、スコットランドには、少なくとも一匹の羊がいて、その羊の少なくとも片方の側面が黒い、ということだろ。」
 哲学者「羊とは何か? 黒いとはどういう状態か?そもそも、今、見ているこの現実は正しいのか?
 そのまえに、現実とは何か?正しいとは何か?などと考えている、私の考えはそもそも正しいのだろうか?」
 生物学者「あれは山羊だ」】

 それぞれの職業によるものの捉え方の違いがこのジョークのポイントであるワケですけれも、さてここに「マスメディア」が加わった場合、彼らは何と述べるべきなのでしょうかね?そして、↓

【東京新聞「私は黒い羊は嫌いだ!アレは魔物に違いない!魔物は誰にも飼いならす事などできやしない!よって脱『黒い羊』」】

 …などと述べる東京新聞は、果たしてマスメディアとして適切なんでしょうかね?

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