メディアのフィルターってヤツは…
【今夏の電力需要や供給能力を議論する政府の需給検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)は7日、第4回会合を開催し、節電効果を積み増し、電力料金を割り引く代わりに不足時に使用を控えてもらう「随時調整契約」の効果を計上しても、供給余力は0.1%にとどまることが分かった。安定供給に必要な3%を大きく下回り、今夏も全国的な節電要請は避けられない見通しだ。
検証委は電力会社の想定に比べ、節電で15万キロワット、調整契約で70万キロワットそれぞれ需要を抑制する一方、揚水発電で7万キロワット供給を積み増した。この結果、全国の電力需給は想定から0.5%改善し、0.1%の余剰となる。
供給力の不足は、関西電力が14.9%(従来は16.3%)、九州電力が2.2%(同3.7%)、北海道電力は1.9%(同3.1%)に縮小。西日本地域の6社全体では2.8%(同3.6%)となる見込み】
【政府の「需給検証委員会」は7日、4回目の会合を開き、需給見通しが最も厳しい関西電力管内で最大需要の想定に対して供給力が8月に14.9%不足するとの新たな試算を示した。
4月23日の初回会合では関電の報告をもとに不足分は16.3%だったが、節電効果の上積みや需給ひっ迫時に供給をカットできる「随時調整契約」による需要減を反映させ、不足分がやや減少した。
需給想定は原子力発電所の稼働がなく一昨年夏並みの猛暑を前提としている。関電の需給見通しでは、需要が減少する夜間の電力を利用して汲み上げた水を日中に流して発電する「揚水」の供給力を若干上積みした。国家戦略室の委員会事務局が提示した修正後の供給不足は、九州電力が2.2%(初回時点で3.7%)、北海道電力が1.9%(同3.1%)にそれぞれ縮小した。
供給力が想定需要を上回っている6電力の予備率は東北電力が3.8%(同2.9%)に上積みとなる一方、東京電力4.5%、中部電力5.2%、北陸電力3.6%、中国電力4.5%、四国電力0.3%の各予備率は初回時点と変化はなかった。
この結果、供給する電気の周波数が同じで融通がしやすい東日本3社(北海道、東北、東京)と中西日本6社(中部、北陸、関西、中国、四国、九州)のそれぞれ合計は、東側は4.0%の予備率(初回想定は3.7%)を見込む一方、西側では2.8%の不足(同3.6%)となり、9電力合計で0.1%の予備率(初回は不足0.4%)と試算した。東日本と中西日本の間の融通は織り込んでいない。
日下部聡・内閣審議官は会合の最後に「供給力は相当程度、固まりつつある。(出席委員に)対策についても推薦いただければと思っている」と述べた。次回会合は10日。最終的な需給見通しの取りまとめは「事務局案を用意するが、1回で終わるかどうかはわからない」(委員会事務局の担当者)としている】
昨日、政府の需給検証委員会から、今夏の電力需給見通しが新たに発表されました。上の記事はこれを時事とロイターの2つの通信社が配信したものです。上の時事の方は「見通し」が付け加えられてはいるものの、それ以外は主観が極力排除され、事実のみが述べられた、通信社配信のニュースらしいものと言えましょう。しかし、同じニュースを反原発団体の広報紙であるところの東京新聞が報じると以下のようになるワケです↓。
【政府は七日、電力会社の今夏の需給見通しに疑問の声が多いことを受け、申し立てが妥当かどうかを点検する需給検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)の第四回会合を開いた。
電力各社の想定では、全国で六十六万キロワット(0・4%)の電力が不足するとしているが、検証委の事務局は節電などによって電力の最大需要を抑えれば、猛暑の場合でも全国で0・1%の供給余力が生まれるとの試算を示した。
検証委事務局は、電力会社の想定に比べ節電で十五万キロワット、大口契約の企業に電気使用を抑えてもらう「随時調整契約」によって七十万キロワットの計八十五万キロワットの需要を減らせると見込んだ。ただ、供給力は夜間の余剰電力でくみ上げた水で発電する揚水発電によって七万キロワットを積み増せると指摘したにとどまり、現時点では電力会社の「言い値」から大きく踏み込んでいない。
専門家として会合に出席した「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長は、揚水発電や再生可能エネルギーを活用して供給力をさらに増やせると主張している。
議論を経て検証委は十日にも、今夏の需給見通しの最終報告をまとめる。
藤村修官房長官は七日午後の記者会見で、来週にも関係閣僚の会合を開き、今夏に家庭や企業に求める節電計画の数値目標を示す考えを述べた。
今回、検証委事務局は、電力の不足幅が16・3%だと申告していた関西電力に対し、より多くの節電効果などを見込むことで14・9%まで縮小できると指摘した。このほか、北海道、東北、九州の各電力も随時調整契約によって、需要を抑えられると見積もった。
一方、電力各社は非常時の予備として最低3%の供給余力を確保したい考え。このため事務局の試算でも、北海道と関西、四国、九州の各電力は、夏のピーク時に電力不足に陥る恐れがあると説明している】
「原発がなくても電気は足りる!」という東京新聞のストーリーに沿ったかたちに見事に組み替えられていますね。しかし供給余力はわずか0.1%、今後供給量をさらに増やせるという主張も根拠薄弱です。私たちが今夏の電力需給について判断する時、果たしてどちらの記事を参考にするべきでしょうか?
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