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2012年6月13日

東京新聞社説6/13~綱を引っ張る方の身にもなれ

生活保護 「命綱」を断ち切るな

【高収入の人気お笑い芸人の母親が、生活保護を受給していたことが問題視された。受給者への執拗(しつよう)なバッシングが、本来支援を必要としている多くの困窮者を追い詰めないか心配だ。

 生活保護は暮らしに困窮した人の「最後の命綱」だ。

 収入や財産がなく頼れる身内もいない。失業や病気で働きたくても働けない。親の介護のために仕事を辞めて困窮した人もいる。

 二百九万人を超えた受給者は、自助努力だけで解決せず生活に困った人たちである。

 元受給者で再就職を果たした女性は「財布に三千円あると今週は生きていけると思った」と言う。

 お笑い芸人の騒動は、自立を目指しぎりぎりの生活を送る多くの受給者への偏見を広げている。

 確かに芸人の息子に収入があるのに困窮した母親を十分に支援せず、生活保護を受けることに道義的な責任は免れまい。

 一般的に親族だからといって人間関係が良好とは限らない。民法では三親等内の親族に扶養義務がある明治以来の考えだが、今や地域が崩壊し家族も孤立している。おじ・おばやおい・めいまで義務を課すことは時代にそぐわない。

 受給には親族の扶養が求められるが、生活保護法では扶養の有無に関係なく受給できる。受給は憲法で保障された権利だからだ。だから芸人のケースは不適切だが、不正受給とまではいえない。

 厚生労働省は、親族に扶養できない理由を説明させる考えを示した。現在でも行政の窓口で申請をさせてもらえなかったり、親族に迷惑が及ぶことを恐れて申請をあきらめる人がいるのに、さらに困窮者を追い詰めないか。餓死者や自殺者の増加が心配になる。

 保護費は二〇一二年度で三兆七千億円と増加している。不正受給額も増えているが、保護費全体の1%にも満たない。

 社会で支えるには制度の公平性は不可欠で、不正や不適切な受給の防止は重要だ。だが、保護が必要な困窮者の約二~三割しか受けられていないといわれる現状にもっと目を向けるべきだ。

 受給者増は、非正規雇用が広がり失業後の再就職も難しく、老後も不十分な年金しか得られない低収入者が増えていることが要因だ。社会保障全体の命綱を太くする必要がある。

 不正を排除することで、支援を必要とする人を制度から遠ざけてはならない。手を伸ばす人たちに最後の命綱を確実に渡すべきだ】

 河本や梶原の生活保護不正受給を叩いている市民の主張はあくまで「不正は許さん!」であって、「生活保護を断ち切れ」なんて事まで言ってるヤツはほとんどいないんですがね…東京新聞をはじめ、必死に問題をすり替えようとしている連中は、どこの国の皆さんの事を心配しているんでしょうかね?

【参考】返還義務なし「不正を容認」 制度不備、にじむ不公平感 読者の声

【右肩上がりの生活保護費や不正受給について、産経新聞社会部が募集している読者からの「情報・意見」には多くの声が寄せられている。社会のセーフティーネット(安全網)としての役割を理解しつつも、不公平感を指摘する意見が目立つ。野田佳彦首相は12日、衆院予算委員会で「真に困窮している人には必要だが、つけ込む動きがあるなら対策をしっかりやらなければいけない」と表明した。不公平感の是正は急務といえそうだ。

 生活保護の平成22年度の不正受給は過去最多の約2万5千件、128億円に及ぶ。一方で、不正発覚後に返還された額が約37億円と3割弱にとどまる。読者から寄せられた意見では制度の不備の指摘が相次いだ。

■働けば損する

 東京都多摩市の男性(32)は「不正受給は確かに悪い。ただ、発覚しても返還させないのは暗に不正を容認しているようなものだ」と訴える。

 自治体側は年に数回、受給者と面談しチェックする。しかし、調査は受給者からの申告が前提で「悪意」は完全には防げない。

 前橋市の会社役員、石綿清平さん(90)は「真面目に働く人が損をするようなもの。制度そのものを見直すべきだ」とする。

 生活保護制度では、日常の生活に加え、家賃補助が受けられるほか、医療や介護の費用も負担がなくなる。生活保護費の半分を占める、その「医療扶助」に関する意見も相次いだ。

 神奈川県鎌倉市の横田初江さん(68)は「私たち(の医療費)は3割自己負担。若いときからたくさんの税金を払い、老後のために準備してきたのに腹立たしい」と憤る。千葉市の女性(71)は生活保護を受ける知人男性から、医療費が無料のため服用できないほど大量の薬を処方されていると聞かされた。

■年金より多い

 生活保護費は地域や世帯構成によって異なるが、東京都心在住の高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)で生活扶助基準額は12万1940円。これに住宅扶助が加わる。こうした支給額への不公平感の指摘もあった。

 生活保護は不動産や車、貯金などを原則処分した上でなければ受給できない。現役時代に保険料を支払い、高齢となって支給される年金とは性格が違う。

 横浜市の女性(68)は月7万円の年金とわずかなアルバイト収入で夫(78)と暮らすが、体力的な不安が尽きない。「(年金よりも)受給額が多いのは納得できない。一生保障ではなく更新条件を設けるなどすべきだ」と訴える。また、川崎市の女性(78)も「国を信じ一生懸命年金(の保険料)を払い続けてきたが、若いときの努力は何だったんだろうなと思う」と漏らす。

 生活保護受給に際しては芸能人の母親のケースでも話題になったように、親族による援助が可能かの確認もされる。ただ、援助は強制ではなく、拒否されれば無理強いはできない。

 一方で、生活保護は憲法で保障される「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化するための制度。「貧困の最後のとりで」ともいわれる。現在国会では消費税の増税に関する議論が大詰めを迎えているが、川崎市の女性(65)は「本当に必要な人とそうでない人を完全に切り離せるような制度が必要だ。がんばっている納税者のやる気をなくさせないようにしなければならない」と政府に注文した。

■帝京平成大学の池谷秀登教授(公的扶助論)の話

 「多くの人が不公平感を抱くのは、芸能人などによって際だった問題が明るみに出た点が大きい。制度自体が分かりにくく、正しく認識されていないというのも考えられる。要件だけを厳しくしても、受給者を減らすなどの根本的解決にはならない。国民から不公平感が指摘されている年金なども含めた社会保障全体からの見直しが必要だ」】

 「困窮者を社会で支える」とは聞こえはいいですけど、実際に社会保障を維持しているのは、毎日一生懸命働いて税金を納めている我々国民なワケですからねぇ…生活保護を受給しなくてはならなくなった経緯ってのは人それぞれあるかと思いますけど、それでも国民の理解が得られなければ社会保障なんてまず成り立たないのですよ。国民としての義務を果たせず、他人に助けてもらわなければ生きていけないという我が身を恥じる心、そして自らを活かしてくれる社会に対する感謝の心を、全ての受給者には持ってもらわなくてはならないと私は思います。社会は決して手を差し伸べる側ではないのですからね。

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