東京新聞コラム8/2~脱原発のためにすべき事
【原子力発電はコストが高く、経済的に見合わなくなる-。脱原発派の主張ではない。原子炉メーカー世界大手の一角を占めるゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト最高経営責任者が最近、英紙フィナンシャル・タイムズに語った内容である▼発言の背景にあるのは「シェールガス革命」だ。地中深い岩盤から採取されるシェールガスの増産が進み、天然ガス価格はここ十年来の安値水準を続けている▼イメルト氏は原発はコストが高いと指摘、「(経済的に)正当化するのが非常に難しい」「天然ガスが非常に安くなり、いずれかの時点で経済原則が効いてくる」と述べて、天然ガスと風力、太陽光の組み合わせに向かっている世界の趨勢(すうせい)を語っている▼ドイツの巨大企業シーメンスは昨年九月、独政府が原子力エネルギーからの脱却を決めたことを受け、原発事業から撤退する方針を明らかにした。原発をもはや時代遅れのエネルギーとみる視点が広がっている▼将来のエネルギー政策について政府が国民の声を直接聞く意見聴取会がきのう、福島市内で開催された。発言した三十人のうち二十八人が二〇三〇年の原発依存度「0%」を主張した▼事故を起こしてしまった時の想像を絶するコストを考えれば、市場原理から見ても原発に未来はない。「リアルな原発のたたみ方」を熟議する時期が来ている】
シェールガス、風力、太陽光、その他にもメタンハイドレートなど、原子力の代わりになりそうなものがいろいろ出てきているのは知ってますよ。ただ、それらが「直ちに原発にとって替われるか」というところを考えますと、話は変わってきます。現在の時点でそれが可能なのは、東京新聞が「GEのお偉方がそう言った!」とはしゃいでいるシェールガスくらいのものでしょう。
しかしそのシェールガスにしても、「天然ガス価格はここ十年来の安値水準を続けている」と言いながら、日本の貿易は燃料費代の増加などで赤字続きとなっています。おそらくは海外のメーカーに足元を見られているのでしょうが、赤字を垂れ流しながらの経済活動が持続可能なはずがありません。原発が時代遅れかどうかはともかく、今はまだ原発を利用せざるを得ないというのが現実なのではないですかな?
そりゃあ、代替エネルギーの実績がちゃんと出てきて、それが十分原発の代わりを務められるだけのポテンシャルを持つ事が証明されれば、原発で金を稼いでいる人々以外の日本人は皆「じゃあ原発を止めよう」という話になりますよ。と言うかむしろ、それをしなければ原発即時停止派以外の国民が「脱原発」を100%受け入れる事はないでしょう。それをせずに「原発は事故が起きたら危ないから」と脱原発を訴える連中のやり口は、かつて「火力発電は大量の二酸化炭素が出て地球温暖化の原因になるから」と言って原発を推進した連中のやり口と何ら変わらないじゃないですか。「リアルな原発のたたみ方」とやらを熟議したいのなら、脱原発派は経済とかエネルギーとか、そういう現実的な問題を考える頭を持ってほしいものですな。
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