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2012年8月23日

東京新聞社説8/23~市民とは名ばかりか

市民団体と面会 反原発の声受け止めよ

【野田佳彦首相が、毎金曜日夕方に官邸前での反原発デモを呼び掛けている「首都圏反原発連合」代表らと面会した。首相は反原発を訴える国民の「声」を受け止め、原発稼働の停止を決断すべきだ。

 首相が官邸で市民団体代表らと会うのは異例だという。約三十分で打ち切られ、主張は平行線に終わったが、首相が市民団体の意見を直接聴く場を持とうとしたことは率直に評価したい。その上で双方に注文がある。

 原発依存からの速やかな脱却はもはや国民の「声」である。

 共同通信社による直近の全国電話世論調査によると、二〇三〇年の原発比率「0%」を求める意見は最も多い42%と半数に迫る。

 政府の「討論型世論調査」でも三〇年の原発比率で「0%」を評価する人が46%と最も多く、この数字は討論を経て増えていったことが重要だ。「原発ゼロ」は原発事故後の一時の感情や、短慮や浅慮では決してないことを意味する。

 しかし、首相は明確な安全基準を欠いたまま、関西電力大飯原発3、4号機を再稼働させた。「国民の生活を守るため」という詭弁(きべん)が、国民を逆に不安にさせている矛盾になぜ気付かないのか。

 毎週末、多くの人が官邸前の抗議行動に足を運ぶのも、国民との約束や思いが政治に反映されず、代議制民主主義が機能不全に陥っているという危機感からだろう。

 原発なしでも節電など国民の努力で暑い夏を乗り切れそうなことは、今夏が証明している。

 首相は国民の声を真摯(しんし)に受け止め、再稼働させた大飯原発を停止させ、今後予定するほかの原発の再稼働も取りやめる。持続可能なエネルギー源の開発に力を注ぐ。消費税増税に費やすような政治的情熱はむしろ、エネルギー構造の改革にこそ振り向けるべきだ。

 市民団体の側にとっては、首相との面会はゴールではなく、通過点の一つにすぎない。

 原子力規制委員会の委員長と委員の人事案の撤回を求められた首相は「最終的には国会に判断いただく」と述べた。同意人事の可否を判断するのはもちろん、首相を選ぶのも、原発政策に関する法律をつくるのも国会だ。

 脱原発を揺るぎないものにするには官邸前のエネルギーを実際の投票行動につなげる必要がある。

 脱原発に無理解だったり、原発維持を画策しようとする経済界や官僚になびくような政党や議員が選ばれては、せっかくの民意の広がりも報われない】

【参考】原発ゼロ 民意鮮明 意見公募経過89% 意見聴取会81%

【二〇三〇年時点の原発依存度をめぐる国民的議論の結果を検証する政府の第一回専門家会合が二十二日開かれ、パブリックコメント(意見公募)の集計経過や、意見聴取会のアンケート結果が報告された。それぞれ89・6%、81%が原発ゼロ案に賛成。国民同士で議論して意識の変化を調査する討論型世論調査(DP)は事前に32・6%だった原発ゼロ案が最終的には46・7%に拡大した。いずれも原発15%案や20~25%案を圧倒しており、「原発ゼロ」の声を無視できない状況に政府を追い込んでいる。

 政府が今後のエネルギー・環境戦略に反映すると位置付けるのは、意見公募や全国十一都市で開かれた意見聴取会のほか、DP、報道機関による世論調査など。原発ゼロを願う民意の大きなうねりは明確なデータの裏付けを土台にして、揺るぎないものとなった格好だ。

 意見公募では、約八万九千件の意見が寄せられ、うち約七千件の分析が終了。81%が即時の原発ゼロを求めたほか、8・6%も段階的な原発ゼロを訴えた。

 意見聴取会で来場者約千二百人を対象に行ったアンケートでは、「その他」意見を除くと原発ゼロ案支持が81%。会場での発言を希望した人への調査でも68%が原発ゼロ案を選択した。

 DPでも、電話調査時には32・6%だった原発ゼロ案が、議論などを経て最終的には46・7%に伸びた。15%案を最も評価したのは15・4%、20~25%案は13%にとどまった。

 この日の会合では、各種調査による意見や情報をどう解釈するかを議論した。田中愛治・早稲田大教授が、意見公募について「強い意見を持つ人が出すので、(比率は)偏る可能性が高い。世論調査が(本当の)国民の縮図なのでは」と指摘する場面があった。

 だが、小幡純子・上智大法科大学院教授は「意見公募は世論調査とは違って誰でも意見を出せ、国民参加が保証されている」と反論。

 今後、二十七日の専門家会合を経て、九月ごろに開くエネルギー・環境会議で政策を決定する見通しだ。鮮明になった民意を政府がエネルギー政策にどう反映させるのか。国民は厳しい目で見つめている】

 世論がどうのと仰るなら、是非コチラも参考にして頂きたいですね。「ニコニコ生放送」内で行われた原発に関するアンケート調査です。こうした調査で正確に世論を反映させるためには最低でも2千の標本が必要だと言われておりますが、対象者数が一般メディアの調査はせいぜい1000~1500なのに対し、コチラは127万ですよ127万。このアンケートの結果には東京新聞の意に沿わない部分もあるようですけれど、日本人の1%に迫る数字ともなれば、果たしてこれを無視していいんでしょうかね?

 意見公募はつまるところ「声のでかい奴の勝ち」ですし、世論調査も対象の数が少なければそれだけ信憑性も下がります。そうした不確かな数字を元に世論を操作しよう(しかも、自分たちの望む方向に)というのは、マスメディアが絶対にやってはならない事の一つです。例えば東京新聞は、反原発デモをやっている団体の声を国民全体の声であるかのように書いていますが、127万人アンケートの方では、「いずれは原発を全廃すべき」という意見は全体の7割でしたが、その中で東京新聞や反原発団体が求める「原発の即時停止」はたった1割しかいませんでした。「お前らがやっている事はサギだ!」と言われても、これでは反論できませんよ?

 …そう言えば、「ニコニコ生放送」での原発推進派と反対派の討論の中に、野豚と面会したという「首都圏反原発連合」の人間が加わっていましたけれども、何つーか「福島瑞穂の劣化版」みたいな感じでした。あんなのが上の方にいるようじゃ、反原発運動も先が見えますな…。

 

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