朝日新聞社説8/7~民主と自民―改革潰しは許されない
【社会保障と税の一体改革の行方に、暗雲が垂れこめてきた。
自民党の谷垣総裁が野田首相に対し、関連法案成立後の衆院解散を、参院での採決前に確約するよう迫っている。
応じなければ、7日にも衆院に内閣不信任決議案、参院に首相の問責決議案を出すという。
不信任案はいまのところ可決の可能性は低いが、問責決議案が提出されれば可決される公算が大きい。そうなれば民主、自民、公明の3党合意は空中分解し、法案成立は難しくなる。
だが、ここで改革を頓挫させることは許されない。将来世代に負担をつけ回しする政治を続けるわけにはいかないからだ。
民主、自民両党は互いに譲るべきは譲りあい、法案成立を最優先にすべきである。
まず理不尽なのは自民党の姿勢だ。
「民主党が公約にない消費増税をやれば、国民に信を問うのが筋だ」。谷垣氏ら自民党執行部の指摘には、一定の理があると私たちも思う。
だとしても、いま解散を約束しなければ法案が潰れてもいいということにはなるまい。
衆院議員の任期満了まであと1年。いずれにせよ総選挙はそんなに先の話ではない。
自民党は2年前の参院選で10%への消費増税を公約した。3党合意は、それに基づいての決断だったはずだ。
これを実らせてからの解散・総選挙ではなぜだめなのか。
野田内閣の支持率が低迷している間に総選挙をやれば、自民党に有利だ。9月の党総裁選前に解散を勝ち取らなければ谷垣総裁の続投は難しい。
自民党内ではそんな声が聞こえる。
もしそれで解散を迫っているのなら、まさに党利党略、私利私略ではないか。
公明党が自民党の姿勢に「説得力がない」と自制を求めているのは当然のことだ。
民主党の言動も不可解だ。
党執行部は、一体改革法案の参院採決より前に、赤字国債発行法案や衆院の「一票の格差」是正法案を衆院通過させるべきだと主張してきた。
きのうになってやっと一体改革法案の先行処理を受け入れたが、参院採決でさらなる離党者が出るのを恐れて先送りを図っていたとしたら、これもまた党利党略というほかない。
私たちは、一体改革をめぐる3党合意を「決められる政治」への第一歩に、と期待した。
首相と谷垣氏は党首会談も含めあらゆる手立てを尽くし、すみやかに事態を打開すべきだ】
毎日新聞社説8/7~消費増税法案緊迫 合意の破棄は許されぬ
【国会の状況がにわかに緊迫している。税と社会保障の一体改革関連法案が参院で採決される前に消費増税反対派の野党7党が野田内閣に対する不信任決議案を提出する方針を固め、自民党にも強硬論が台頭しているためだ。
増税決着後に野田内閣を衆院解散に追い込もうとしていた自民の目算は狂い、7野党と別の名目で内閣不信任決議案や参院で野田佳彦首相への問責決議案を独自に提出する動きが出ている。一体改革に関する民自公3党合意の重みを忘れてはいないか。合意の破棄は政党の責任放棄に等しく、断じて許されない。
2大政党の動揺ぶりに、不信任案提出に踏み切る7野党の方が驚いているのではないか。
自民は責任放棄するな 自民党は内閣不信任決議案を、野田内閣を衆院解散に追い込むカードのひとつとして増税法案の成立後まで温存しようとしてきた。決議案は他のすべての案件に先立ち採決され、同じ国会での再議は行われないのが原則だ。
ところが7野党の不信任案提出方針で自民党は増税法案の採決前に野田内閣と全面対決するか、当面は信任するかの判断を迫られる。これを境に自民党には首相が衆院解散を確約しない限り3党合意を破棄し、独自の不信任決議案などで対決すべきだとする強硬論が強まり、谷垣禎一総裁もこうした方針に言及した。
衆院では民主党議員15人程度が造反しない限り不信任案は否決される。だが、自公が不信任案を提出すれば政権との対決色は一気に強まり、参院で問責決議案が提出されれば採決を目前に審議は相当期間、停止する公算が大きい。3党合意がほごになりかねないという危うい状況である。
衆院で合計51議席を超す増税反対派の会派が協力して不信任案を提出する展開はある程度、予想されたはずだ。にもかかわらず、この動きに影響され合意破棄をちらつかせる自民党内の議論は党利党略と言わざるを得ない。
合意したはずの重要法案の審議のさなか、最初は採決を早期に行うよう求め、今度は「衆院解散を約束しないなら不信任」と言いだすようではあまりに無原則だ。秋の総裁選に向けた谷垣総裁の露骨な生き残り戦術とのそしりを免れまい。
民主党政権の運営が低迷し、ねじれ国会の下で今国会での一体改革関連法案成立に3党が歩み寄った原点に立ち返る必要がある。国の歳入の半分以上を借金でまかない、費用が増大する社会保障の底割れを防ぐ緊急かつ不可欠の措置として危機感を共有しての合意だったはずだ。
欧州金融危機にみられるように、財政再建への歩みが頓挫しかねないというシグナルを世界に送る危険をどこまで認識しているのか。自民党には今日の危機的な財政状況を招いた主な責任が自党にあるという自覚がなお、足りないのではないか。
今国会での増税実現に政治生命を懸ける首相にとっても正念場だ。3党合意が崩れれば、ゴール寸前まで来ていた法整備が水泡に帰す。
自民党の今回の一連の対応について、首相や民主党も責めを負うべきだ。もともと3党合意は衆院解散を優先する自民と法成立後の「話し合い解散」の余地を持たせつつ成立したガラス細工だった。
ばらまき論議は猛省を ところが民主党は参院での審議について引き延ばしが主眼ととられかねない日程を示したり、首相にも衆院解散の先送りを探るような言動が目立ったりしている。衆院議員の任期満了はいずれにせよ、来年訪れる。衆院の「1票の格差」是正に向け法的措置を講じたうえで、消費増税法案の成立後はすみやかに民意を問う覚悟を示すべきだ。党内の解散慎重論にばかり配慮しているようでは自民の不信を募らせる。
一方で、増税関連法案が衆院を通過して以来の緊張感のゆるみについても指摘しなければならない。
3党合意に伴い財政にゆとりができた分を公共事業に回すことへの容認ととられかねない表現が付則で加えられた。自民党は防災対策などで10年間に200兆円規模を集中投資する国土強靱(きょうじん)化基本法案を国会に提出しており、次期衆院選に向け旧態依然たるばらまきの再現を求めるような動きが出ている。あぜんとしてしまう。
軽減税率の導入など低所得者対策も積み残されたままだ。毎日新聞の最近の世論調査では消費増税法案の今国会成立を望まない人は61%で、望む人の33%を大きく上回っている。軽減税率は81%もが「導入すべきだ」と答えている。国民に一層の理解を得るため、できる限りの方策を具体化することこそ3党に本来、今、課せられた役割ではないか。
7野党による決議案提出という今回の第三極的な行動は、増税実施を織り込み政局の駆け引きや財源の分捕り合戦に関心が移りがちだった2大政党のゆるみも突いた。
なぜ、3党合意が必要と決断したのかを民主、自民両党は冷静に考え直すべきだ。そして野田首相、谷垣総裁両党首が先頭に立って、事態の収拾に努めなければならない】
アサヒも変態も、そもそも増税には賛成なんでしたっけ?民自公の3党合意を「密室談合だ!」とか批判はしていませんでしたっけ?財務省からいくらかアメをもらったか、あるいは「税務調査」などのムチをちらつかされたか、いずれにしても誰かの思惑に乗せられて動くマスゴミなんて、戦時中から何も反省してないって事なんでしょうなぁ…。
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