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2012年8月 7日

現実の一端

メルマガ読者1300人アンケート 原発再稼働「賛成42%」の衝撃

【脱原発にあらずんば人にあらず。報じられる言説は一色である。だが、小誌2012年8月2日号で徳岡孝夫氏が語ったように「反原発デモへの違和感」を持つ人は少なくない。今回、メルマガ読者に聞いたところ4割以上が「再稼働賛成」と答えたのだ。「国民の真意」はどこにあるのか。

 キャンドルを手にした参加者が国会議事堂を包囲、主催者発表20万人(警視庁発表1万数千人)が参加したデモは、民主党議員への怒号が飛び交い、初の逮捕者2名を出す事態に(7月29日)。

 同じ日に投開票が行われた山口県知事選挙は、事実上の一騎打ち。「脱原発」を声高に掲げた飯田哲也氏(NPO法人所長)が山本繁太郎氏(元国土交通審議官)に敗れた。

 また、政府が全国で行っているエネルギー政策をめぐる意見聴取会では、将来の原発依存度を「0%」「15%」「20~25%」の3段階で示し、議論が行われている。だが、原発ゼロを主張する人には拍手が涌き、依存度最大となる「20~25%」に賛成した発言者には野次が浴びせられているという。

 これらの事象における人々の「原発観」の極端な差異は何を意味するのか。小誌では「週刊文春WEB」のメルマガ読者1300名を対象に「大飯原発再稼働」の是非を聞いた。すると、メディアには脱原発寄りの言説が溢れているにも拘わらず、「42%」の人が再稼働に「賛成」した。

 性別では、男性の46%、女性の35%が賛成。年代別では、70代が52%と賛成の割合がもっとも高く、20代は25%と低かった。

 その声を見ていこう。まずは原発の「必要性」。

「今は原発反対と言うほうが世間受けはいいと思いますが、再生可能エネルギーが確実なものとなるまでは原発を稼働させ、無くすことより、放射能の研究を進め、より安全で、拡散させない技術を確立してほしいです」(女・64・神奈川)

停電は命に関わる問題

「日本は経済が良くなくては成り立ちません。その為には電気は必要不可欠です。原発の無い安全な貧しい自給自足の国家も良いでしょう。ただそれでは子供たちは将来になんの輝きも見出せないのではないでしょうか?」(男・47・静岡)

 大飯原発のある福井県に限ってみると、賛成は29%。地元からはこんな意見も寄せられた。

「私は福井県に住んでいますが、原発が停止して街の求人率は下がり、この街の経済に打撃を与えています。反対している方はこの様な事を考慮されて反対されているのでしょうか?」(男・38・福井)

「根本的には原発反対派」という人(女・37・大阪)も今回は再稼働賛成に回った。

「節電以外の策がない状態で稼働もしないというのはあまりにも危険すぎると思います。節電はしていますが、ここ最近の暑さは尋常ではないので、お年寄りや子供や体が弱い人などが死亡するなどの事象が起こってからでは遅い!」

「医療関係へは絶対に電力を絶やしてはいけないし、節電させてもいけない。原発反対を叫んでいるのは、健康な人間ばかり。電気が命綱になっている人たちへの想像力が欠如している」(女・45・三重)

 原発の恩恵をもっとも受けていると言える東京都からの声。

「東京に住んでいて、電気の恩恵をたっぷり受けているのに反対デモなどに参加する人たちは、デモなどに参加するよりも、電気のない生活でもしてアピールしてほしい。きれいごとを言う人たちを見ると『じゃあ、君たち電気のない生活をしろ。テレビも見ない、電車にも乗らない、夜はろうそくでも灯していれば?』と叫んでしまう」(女・53・東京)

集会では著名人も声を上げる

 反対派の論拠や手法に違和感を唱える声も多い。

「東電等電力会社の体質の改善は必須であるが、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いと言わんばかりに原子力発電の全てを悪者とし、ヒステリックに対応するべきではない。今までの発電で恩恵を受けながら、無責任に正義感に酔っているのみであり、何ら建設的かつ現実的な意見が出てきていない。国家の利益を安直な世界市民的精神のもとに損なうなど愚の骨頂である」(男・29・長野)

 集会では坂本龍一や大江健三郎ら著名人も声を上げる。だが、それが違和感の元に。

「反対を唱えている著名人はみなお金持ち。ハメルンの笛吹きではないが、大衆をどこに連れて行こうとしているのか。気が付いたら日本国民がゼロになる。仙谷さんの集団自殺そのもの。これが声なき声。我々一般良識派は昔からデモには行かない。技術の粋を結集して今後も原発を注意深く運転して貰いたい」(男・67・東京)

 ジャーナリストの櫻井よしこ氏はこう言う。

「原発の問題は安全性です。ストレステストで安全性が確認された原発の再稼働を、もっと冷静に見つめるのがよいと思います。この夏の暑さのなか、停電が起これば幼い子供、高齢者、病んでいる人々にとっては命に関わる問題です。坂本龍一さんは『たかが電気のために命を危険に晒すな』といいましたが、命の大切さを訴えるならたかが電気とはいってほしくありません」

一方で6割の人が再稼働に反対

 だが一方で6割の人が再稼働に反対しているのも厳然たる事実である。

「核廃棄物は将来に亘って処理不可能、事故発生の際には国家予算ほどの高コストと修復不能な国土破壊。原発既得権産業の脅しに抗えず大飯を再稼働した今後は、官僚の傀儡と化した政治家が与野党結託して常套手段『なしくずし』を連発するだろう。強い危機感を覚える」(女・43・広島)

 事故の現実性を唱える意見もある。

「人の命と原発による電力は比較の対象にもならない。即刻全原発を廃止すべき。私はある工場の技術担当者ですが、何十とある設備は毎日どこかの箇所が不良をきたします。消耗品然り、配管然り。それが人間が考え出した設備の限界なのです。原発も特別な設備ではありません。どこまでいっても人間の智恵の範囲内です。ですが、自然の力、原子の力は人間の智恵を超えます。人間はもっと謙虚になるべきです。技術過信の傲慢さを今回の事故で学び取らなければ、未来は無い」(男・61・石川)

「人類は、万一の時にも、自らの技術で完璧に処理しきれる文明だけを手にするべきだと思います。原子力というものは、まだ人類の手の中で把握しきれていないのではないでしょうか。目に見えない汚染の恐怖に怯えながら原子力とともに歩んでいくのはもうたくさんです。もし、これからの未来に不可欠なエネルギーであるならば、いかなるシミュレーションにも揺るがないだけのレベルに達してからにしていただきたい。つまり、時期尚早の一言に尽きるのではないでしょうか」(女・34・東京)

 福島からの声も届いた。

「私は事故を起こした福島原発から直線距離で75キロのところに住んでいる、原発事故県民です。いざ原発が事故にあっても周辺住民は補償金をたくさんもらえます。しかし、半径50キロを超えた範囲の住民はなんの補償ももらえません。自分の土地も家も放射能で汚染されて、なんの補償も謝罪も受けられません。原発の恩恵を何も受けずに最大の被害を受けるということを声を大にして訴えていきたいです」(女・33・福島)

 福島県の再稼働賛成率は30%と、前出の福井県と同様に全国でも低かった。

 17年前の阪神大震災の被災者はこう振り返る。

「人間がいくら備えて小細工をしていても、悲しい事にどうにもならない事もあるのです。自分も阪神・淡路大震災でエライ目にあったので、もう『そういう物』なんだと思うようになりました。予測不能な災害の為に怯えて切り詰めて暮らすより、前向きに復興・医療活動など必要な時は稼働する、代替エネルギーでまかなえるなら順次停止する、と言った具合に、全稼働か全停止かではなくもっと臨機応変に対応して欲しいです」(男・25・兵庫)

 そして、大阪在住の原発関係者はこう訴える。

42%のサイレントマジョリティ

「反対派の過激な行動を見ると、今の状況で原発が稼働することは原発関係者として身の危険を感じる。

 過去に、子供が通っていた小学校で、音楽の先生が『原発あるまじき』といった替え歌を、あろう事か音楽の時間に教え、あわやクラス全体からいじめに遭う寸前まで行ったことや、会社名を言っただけで、マンション賃貸を断られたとか、特に大阪南部の実態は、会社名すら表に出せない状況がある。

 そんな教育の中で育ってきている人々が原発反対を唱えている間は、本当に関係者としては危険を感じながら日々を送っている次第です」(男・53・大阪)

 じつは大阪の賛成票は、49%と全国でもトップクラス。“原発あるまじき”の空気のなか、こうした言論は封殺されているのだろうか。

 前出の櫻井よしこ氏はこう言う。

「原子力エネルギーと自然再生エネルギーの両方を見て、日本は両方の技術で世界をリードすべきです。ただ、太陽光発電で世界一のドイツは91年から買い取り制度に取り組み、太陽光の固定価格だけでも約10兆円もつぎ込みながら全電力の3%しか賄えていません。その限界ゆえにドイツ政府は太陽光電力の買い取りを価格、量双方で制限しました。他方原発は、最大の産油国、サウジアラビアが16基の原発建設を計画しています。米中韓露も強力に原発推進中です。人類はいま原発廃止でなく、原発と自然エネルギー両方を維持していくべきなのです」

 ジャーナリストの徳岡孝夫氏は今回の調査結果について、「42%のサイレントマジョリティは存在する。そんなものでしょう」という。

「昔から反対派の論理のなかではいつも被害者が全権を握っている。戦争で両親を亡くした沖縄の人は、父母がサトウキビ畑で『ざわわ、ざわわ』とないていると訴える。広島の被爆者を連れてこられて『これを見ろ』といわれたら何もいえない。福島で家を追い出されて帰れない人々に『この気持ちがわかるか』と聞かれても気の毒だけれどわからない。しかし常に被害者の正義でしか動かないこの国は果たして健康なのか。こう言うと総攻撃を受けるか笑われるかですが、私はおかしいと思う」

 今回集まった、決して声高に語られることのない賛成派の声。「再稼働」に脊髄反射的に反発するだけではなく、こうした声に耳を傾ける意義はある】

 ちょっと長い文章ですが全文掲載しました。私は「17年前の阪神大震災の被災者」の方の意見に強く賛同しますね。とかく「脱原発」で声を上げている連中の主張は急進的かつ妄信的で、今後サイレントマジョリティを取り込んでいけるものとは全く思えませんので。

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