東京新聞社説9/5~まずは解散だ!
【野田内閣が二〇一二年度予算の執行を抑え始めた。与野党対立で赤字国債が発行できないためだ。国民生活への影響を避けるのは当然だが、このピンチを行政の無駄を削る好機としてはどうか。
一二年度当初予算は九十兆三千億円。歳入のうち約四割に当たる約三十八兆三千億円は赤字国債を充てることになっている。
しかし、赤字国債を発行するための公債発行特例法案は八日に閉会する今の通常国会では成立しない見通しで、政府はこのままだと十月から十一月には財源が枯渇するとしている。
政府が予算執行を抑制するのは「ない袖は振れない」にほかならない。対象は各省庁の庁舎運営費や出張旅費などの行政経費、独立行政法人や国立大学法人に交付する運営費などで、九月以降は予算額の半分以下にするという。
四日には安住淳財務相が地方自治体向けの約四・一兆円の地方交付税の支払いを「当面、見送らせていただく」と述べた。
財源不足による予算の執行抑制は異例の事態だ。野田内閣の側には、公債発行特例法案の成立を拒む自民党など野党側に軟化を促す狙いもあるのだろう。
予算執行に欠かせない財源を確保するための法案は本来、政争の具とすべきではない。野党側も公債発行特例法案を内閣総辞職や衆院解散の取引材料とするのは厳に慎まなければならない。
予算執行に支障が出ないよう、財源確保のための法案は予算案に準じて、衆院の議決を尊重するような国会運営の工夫が必要だ。
年金、医療、生活保護など社会保障関連や、防衛や治安の経費、東日本大震災復興経費は執行抑制の対象外だ。財政の非常事態とはいえ、国民生活への影響をできる限り避けるのは当然だろう。
同時に、財政のピンチは、行政スリム化のチャンスになり得る。
行政事務に非効率はないか、無駄な事業はないか、これを機に徹底的に見直すべきだ。使える予算がなければ無駄を削り、限られた予算を、優先順位を付けて重点的に配分するしかない。知恵はおのずから出てくる。年間約三百二十億円の政党交付金や、議員歳費なども聖域とすべきでない。
地方交付税の受け取りが遅れる地方自治体も同様だ。資金不足の自治体は銀行からの借り入れでしのぐが、行政の在り方を徹底的に見直して無駄を削れば、借入額も金利負担も減る。その努力が地方自治をより強くすると信じたい】
>予算執行に支障が出ないよう、財源確保のための法案は予算案に準じて、衆院の議決を尊重するような国会運営の工夫が必要だ
何故「衆議院の優越」などというものが認められているのか。それは衆議院が参議院と比べて定数が多く、任期が短く、また解散がある事から、「衆議院は国民の意思をより強く反映するもの」とされているからです。しかし直近の選挙から2年が経過し、現在「最新の民意」は参議院の方にある状態です。憲法にも定められた「衆議院の優越」の根本に立つならば、「直近の民意よりも旧い民意を優先せよ」とは、考え方としてあり得ないのではないですかな?
「財源確保の法案も衆院の議決を尊重しろ」と仰るならば、まずは解散総選挙を行い、「直近の民意を反映しているのが参議院」という状態を解消してからの検討課題とすべきでしょう。そもそも民主党が解散を先送りしているのは、国民のためなどでなく、自分たちの議席を失いたくないがためであるのは明白です。そういう連中に民意が解散を突きつけられるような工夫ができてこそ、民意の政治への反映はより進むのではないでしょうか。だいたい、現状でより近い民意は参議院にあるというのに、その意思でもって可決した問責決議に何の拘束力もないというのも気に入りませんよなぁ…。
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