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2012年10月 3日

日記を「新聞」として売る会社

記者の目:欧州から見た領土問題=斎藤義彦

【沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)、島根県・竹島(韓国名・独島)を巡り、中国・韓国と日本の対立が続いている。遠く欧州連合(EU)の本拠地ブリュッセルから見ると、日中韓の対立は歯がゆく思える。EUは互いに殺し合ってきた歴史を越え、債務危機を機に統合を深めている。100年かかってもいい。日中韓は共同体をめざすべきだ。それ以外、安定し繁栄した東アジアの将来はない。

◇アルザスを巡り、独仏血の争奪戦

 ドイツの外交官との会話から始めたい。尖閣問題への意見を聞くと「小さい無人島でしょ。日中で共同管理すればいい。なぜ対立するのかわからない」と言う。ナショナリストでない私もムッときた。「国際法上は……」と反論しようとする私に彼は言う。「確かに名誉の問題だ。でもアルザス地方を巡る独仏の対立とは比べようもない」

 アルザスはドイツに接したフランス北東部で、資源に富むことから独仏が血で血を洗う奪い合いを行ってきた。8000平方キロを超え百数十万人が住むこの地方で、占領のたびに住民の追放や言語・文化の強制変更が行われた。今ではアルザスは欧州議会も抱え、独仏だけでなく欧州の十字路として発展している。

 日中韓の広い交流から見たら、島を巡る対立はあまりにも小さな問題だ、と欧州から見られているのは事実だ。

 その欧州で債務危機があっても無責任な論者が主張するような「EU・ユーロの崩壊」が起こらないのは、統合がどれほど平和と繁栄に貢献するか、欧州の政治家が深く認識しているからだ。

 03?07年にベルリン特派員だった私は、04年にEU加盟したばかりのポーランドがドイツと衝突するのを目のあたりにした。ドイツは第二次大戦後、東方の領土3分の1を失った。現ポーランド、チェコ領などから、ドイツ人が1500万人も追放され、途中で200万人が死亡した。この領土の返還を求める勢力はドイツ与党と結びつき、ポーランドは反発した。

 ところが07年に税関や国境管理をなくすシェンゲン協定がポーランドやチェコで発効。人の移動も完全自由化された今では、領土を巡る対立は聞かない。ドイツ東部には多くのポーランド人が住み、ドイツ人はポーランドにビジネスチャンスを求める。国境の「魔力」を弱める努力が安定に寄与した好例だ。

 EUはさらに99年のコソボ紛争で加盟国が爆撃さえしたセルビアを含め、バルカン半島諸国をEUに統合する構えだ。火薬庫と言われたバルカン半島の国境の垣根を低くすれば安定がもたらされると欧州の政治家は信じている。

 EUが理想郷でないのはご存じの通りで安直にEUモデルを輸入できるとも思わない。EUも冷戦時は体制の壁は乗り越えられなかった。しかし、EUの平和と安定が示すのは、日中韓の国境の垣根を低くし、連携を強め、人の交流を進め、共同体を作ることこそが東アジアに平和と安定をもたらすという可能性だ。

◇70年代のEU内地域対立に類似

 日中韓共同体は夢物語と思うだろう。しかし、それを語るのは私だけではない。

 日本をよく知るEU高官は、日中の対立が欧州共同体(EC)が発足して間もない1970年代の地域対立に「似ている」と話す。その後、統合を深め「緊張を管理するメカニズムを見つけざるを得なかった」EUの歴史をあげ、日中韓にも「利害対立を調整できる外交的な構造が不可避だ」と指摘した。EUをよく知る日本政府関係者も「EUが対立を和らげた歴史に学ばざるを得ない」と認める。

 誤解してほしくないのは、日中韓の共同体は反米ではない点だ。EUに反米の国など存在しない。むしろ不要とも言われる北大西洋条約機構(NATO)を維持し、欧米の結束を守っている。

 一方、日米同盟は魔法のつえではない。パネッタ米国防長官が9月に訪中した際、尖閣問題で自制を呼びかけるだけに終始したのを見てわかる通り、米国は暴力から日本を守ってはくれるが、日中韓の将来まで決めてはくれない。

 やがて中国も成長が鈍化し非民主的な体制への市民の不満は高まる。その爆発を私は恐れる。韓国は北朝鮮という重い荷物を抱える。中国を大人の国にソフトランディング(軟着陸)させ、朝鮮半島の統合を支えられるのは、歴史的・物理的に近く、安定した民主国家の日本しかない。

 日本では総選挙が近づき、対中・対韓強硬派が勢いを増している。だが強硬派に長期展望はあるのか。対症療法でなく、100年先の日中韓の平和と安定を語る政治家に私なら投票する】

 ブリュッセルに滞在して、EUの現状を目の当たりにしているはずなのに「共同体を作るべき!」だなんてよくも言えるものだと思います。「中国や朝鮮半島を支援するために日本が動かなきゃいけない」などという弁も、寝言としか思えません。EUはいいですねぇ、自分たちの体制維持が目的で近隣諸国を攻撃するような国家なんてないんでしょうし、国家にとってクソの役にも立たないような妄想を記事に載せて売るような一般紙もないんでしょう?

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