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2005年12月23日 (金)

甘食パンの真価を問う

 時は18世紀、豪華絢爛な宮廷文化が華開いていたフランス。しかしその一方で、国家は経済や階級制などに様々な危機を孕んでおり、内部の不満は日に日に高まっておりました。

 中でも、労働者や農民などのいわゆる「平民」は、重税と困窮にあえぐ日々を送っておりました。しかしながらその現状を廷臣が王妃マリー・アントワネットに伝えた時、彼女はこのように言ったと伝えられています。

「パンが無ければブリオッシュを食べればいいじゃない」

 このセリフは、実際にはマリー・アントワネットではなく、国王の叔母であるヴィクトワール内親王が言ったものなのだそうですが、ジャーナリストによってこれを伝えられた民衆は激昂します。

「パンと菓子パンを一緒にするな!」

 人間というのは誰しも、普段食べている物についてケチをつけられるのはすごく腹が立つものです。そして、こうした怒りがバスティーユ監獄の襲撃を引き起こし、その後フランス全土を巻き込む革命の嵐を呼び起こすきっかけとなったのであります(微妙に間違ってる)。

 それから200年ほどの時が流れ、今私たちは平和の中で暮らしているわけなのですが、ここでふと思うのは「ブリオッシュは本当にパンの代わりにはなりえないのか」という疑問です。私自身、ブリオッシュは学校給食などで何度か食べた事があるのですが、当時の記憶では「何かうすら甘いパン」という感じで、毎食時に食べるパンとしては向いていないんじゃないかという印象を覚えました。

 しかしそこは子供と大人、味覚の差というものがありますし、もしかしたらこの疑問を検証する中で、新しい味覚の地平が切り開けるかも知れません。それに、平和な時代である今だからこそ、これを試してみる価値があるのではないか、などと思ったわけであります。

 …という事で、私はさっそく検証の準備に取りかかったのですが、ここで大きな壁にぶつかってしまいました。

 「ブリオッシュって、どこ行けば手に入るの?」

 前述の通り、過去に私がこのパンに触れたのは小中学生の頃。そこから現在に至るまで、コンビニやスーパーでこのパンを見かけた記憶がありません。実際に近所のパン屋から、百貨店の地下食品売り場にあるようなパン屋まで方々探してみたのですが、ほとんどそれらしいものは見つからず。中には「ブリオッシュ~」と銘打たれているものもいくつかありましたが、それらは砂糖やらアーモンドやらでごてごてデコレーションされていて、私の記憶の中のそれとは大きく異なるものでした。

 ネットではブリオッシュの作り方を紹介しているサイトもいくつかありましたが、私にはパンを手作りした経験などなく、完全に手詰まりの状態に。「これはもう諦めるしか…」と思いかけたその時、私の頭の中に天啓がひらめいたのです。

 「そうだ、甘食パンがあるじゃないか!」

 甘食パン。日本人なら多くの人が知っているであろう、あのオッパ…もとい、つぶれた円錐形をした、ほんのり甘いパンです。今回ソースが見つからなかったのですが、間違いなく日本で生まれた菓子パンで、しかも「甘い」ながらも「食パン」を名乗るこの心意気。彼(?)ならブリオッシュの代役として(いや、むしろ日本生まれという事で、ブリオッシュ以上の逸材と思われます)この試練に立ち向かってくれる事でしょう!ビバ甘食!

 …長い前置きはそろそろ終わりにして、ここからいよいよ検証に入ります。今回の検証は「甘食パンは食パンの代わりとなり得るか」を主題とし、ふつうパンで作る料理を甘食パンを用いて作り、その結果から甘食パンの可能性を探るものとします。そして、今回甘食パンへの課題となる料理は、以下の3つをチョイスさせて頂きました。

 ①バタートースト

 ②サンドイッチ

 ③ピザトースト

 …正直、パンを使った料理なんて、これくらいしか思いつかない…。_| ̄|○

 なお、フレンチトーストなどの甘い料理は、逆に甘食には有利かもしれないと思って外しました。この辺は決して甘くありません(笑)。

【準備】

 この検証においてなくてはならないもの、それは当然ですが甘食パンそのものです。我が国においては、一部の地域で甘食パンが手に入りにくい所があるそうなのですが、関東圏では特に問題ないでしょう。ただ単に甘食パンをゲットするだけなら、その辺のスーパーやコンビニなどでもOKなのですが、一応これは彼ら(?)の真価を試すための検証です。あとで「安い甘食パンを使ったからこの程度の結果なんだ」とかツッコまれたくありません。そこで…、

0512111 今回は「サンジェルマン」の甘食パンをご用意させて頂きました!6個入りで347円(税込み)。

 早速味見をしてみると…うん、ウマイ。昔懐かしい優しい甘さ。中はちょっとしっとりしながらも表面は乾いていて、これが安い甘食パンだと、水分が多すぎて表面がベタベタになるところです。これなら十分期待ができそうです。

【検証①バタートースト】

 まず最初は、シンプルにトーストから。ただ、甘食パンのあの形では出っ張った頭(?)の部分がトースターに入らないので、そこをパン切り用の包丁で切り落とします。そうすると平らな底ができるので、皿の上に飾りやすくなる効果もあったりするのです(笑)。見た目も味のうち。

0512112 カットした甘食パンをトースターの中へ。

 ところでこのトーストというのは、とても特殊な料理なんじゃないでしょうか。そもそもパンって奴は一度焼いて作りますが、トーストはそれをさらに焼くじゃないですか。「温める」って感覚じゃなくて間違いなく「焼く」、しかもそれによってさらに香ばしさや風味が出る。人間の主食にはパンの他にも米や麺類がありますが、これらではパンのようにはいかないんじゃないでしょうか。

 …そんな事を考えながら甘食パンを焼いていると、次第に甘い匂いが湯気とともに立ち上ってきました。一度トースターから出してひっくり返し(トーストは両面焼く派なんです)、程よく焦げ目がついたところで皿の上に乗せ、バターを塗れば完成です。

0512113 やや焼きすぎ?

 実は私、この「甘食トースト」については、事前に「美味しい」という話を聞いたことがあるのです。本来なら検証から外すべきなのかも知れませんが、これまで実際に試してみた事はありませんし、それに最初くらいは希望を持たせて欲しいと思いまして(笑)。とりあえず実食。

 ………。

 ……。

 …。

 うまーい!!!

 本気でこれは美味しいです。まず、焼く事で甘い香りと味の両方が強くなります。次に、焦がした表面がサクサクと軽い歯ざわりに。そして、バターがまた香り良く、その塩気が甘食の甘みをさらに引き立てます。これは皆さんも是非お試しあれ。

 まぁ正直言って、たかだか焼いてバター塗ったくらいで、食べられないような代物になるとは思っていませんでしたけれども。ですが仮にそんな事態になったとしたら、彼(?)の持つ「食パン」という称号(?)は分不相応、剥奪も検討しなければならなかったところでしょう。「甘食パン、明日からただの『甘』」…なんて事にならなくてよかったね甘食パン。
 
【検証②サンドイッチ】

 検証①でなかなかの感触を得たところで、次はサンドイッチ。ちなみに中の具については、いろいろ検討した結果、メンチカツとポテトサラダに相成りました。これについてもご説明しましょう。

 ポイントの1つはその素材。メンチカツのメインは挽き肉、ポテトサラダはポテトを中心としてほとんど野菜。すなわちこれは、甘食パンと「肉と野菜」という基本的な食材との相性を、一度に検証せんとする選択なのです。

 そしてさらなるポイントは使用する調味料。一般的に、メンチカツに使われるのはソース、そしてポテトサラダの味付けはマヨネーズです。こちらも調味料界の大関(横綱とか他のメンツは各自で考えて下さい)2人を相手に、甘食パンががっぷり四つの体勢。まさにこの選択は、ただ一度の検証で甘食パンの可能性の大部分を明らかにしようという、野心的かつ大胆なものなのです(激しく自画自賛)!

 …というわけで、実際に甘食パンで作り上げたメンチカツサンド、及びポテトサンドをご覧下さい!

0512114 メンチカツサンドの方には、ちゃんとマスタードを塗ってあります(笑)。

 手始めに、ポテトサンドの方からいってみましょう。

 ……。

 …。

0512115 うん…甘い。

 甘食パン自体の甘さはそんな強烈なものではないので、この感想も「甘い…よな…?」くらいのレベルなのですが、甘さは後からくる感じで、互いを引き立てあったりとかそういうのは全然ありません。ちょっとポテトサラダも味が薄かったかも。また、甘食パンのややボソボソした食感と、ポテトの食感の組み合わせは悪くないのですが、そこにキュウリの薄切りの歯ざわりはちょっといただけませんでした。

 気を取り直して、次はメンチカツサンドを。

 ……。

 …。

0512116 こっちはまだ悪くない…かな?

 メンチカツやソース自体の味わいが強いせいか、はたまたマスタードを塗ったのが良かったのか。口に入れた時のパンの甘さは幾分弱く、その分メンチカツの味をはっきりと感じました。ただ、この子(?)はどうしても後から甘さを主張する性格のようで、しかもその甘みがメンチカツの塩味と相まってより強く出るのは、やはり厳しいと思われます。

 しかしこの甘食サンド、激しく食べづらいシロモノです。甘食パンは脆くてあちこちにポロポロこぼれますし、それ以上に問題となるのはこの厚さ。画像を見て頂ければ判りますが、2個の甘食パンとその中身を合わせて、どちらも8cm近くはあるでしょうか(一応画像の甘食サンドは、トーストと同様にパンの底の部分をカットしています)。しかも今回使った甘食パン、実は若干サイズが小さめなのです。これをスーパーなどで売ってる市販品で作ると、きっととんでもない事になるでしょう。

 …とりあえず検証の結果としましては、非常にビミョーなものとなりました。甘食パン自体の性格が極端なものではないため、特に塩気のあるものとの相性は悪くないと思われますが、それには「後からくる甘みをどう丸め込むか」が大きな課題となりそうです。

【検証③ピザトースト】

 私が幼い頃、「ピザ」と言えばピザトーストの事でした。4等分した食パンにバターとケチャップを塗り、そこにハムとプロセスチーズを乗せて焼く。本当に単純ですが、チーズがとろりと溶け、焦げ目のついたピザトーストの朝食は、その日一日の幸せを約束してくれたものでした。

 時が流れ、ここ十年近くはピザトーストなど口にする機会もなく過ごしてきたのですが、それでも心のどこかに「ピザトーストへの憧れ」のようなものが残っていたのでしょうか。実は今回のネタを企画するにあたって、最初に思いついたのが「ピザトースト」でした。純粋な想い、と言っても過言ではないと思いますが、それを甘食パンでやろうとするのは果たしてどうなのかと(笑)。

 …ともかく、料理開始です。まず台となる甘食パンをバタートーストと同じ要領で軽く炙り、バターとトマトソースを塗る。このソース、昔はケチャップしかありませんでしたが、今は専用のソースが色々と市販されてますし。今回は冷蔵庫の中に、パスタに使っているトマトソースが余ってましたので、こちらを使ってみる事にしました。

 そして、その台の上にハムととろけるチーズを乗せ、オーブンに放り込んでチーズが溶けるまで焼けば完成です。なお今回、オーブンが見当たらなかったため、焼き上げには魚焼き用のグリルを使用しました。止むを得ないとはいえ魚の脂のニオイが篭りまくったグリル、これが検証の結果に影響を及ぼさないかどうか、激しく不安ですがどうでしょう…?

0512117 完成品。

 ドキドキしながらグリルからピザトーストを取り出すと、最初に立ち昇ってくる香りは魚のニオイ…ではなく、チーズを焼いた時の香ばしいニオイ…でもなく。何とバタートーストの時に嗅いだ甘食パンのニオイでした!えぇ!

 何だかすさまじい不安を感じながらも、味見に挑戦してみます。

 ………。

 ……。

 …。

 ぐえぇ…。

 バタートーストの時の検証結果である「甘食パンを焼くと味、香りともに強くなる」。これが完全に裏目に出ました。ハムとチーズの塩気と風味を完全に飲み込んで、甘さメインの不気味な味わいの狂喜乱舞、といった感じでしょうか。オマケに甘食パンをトーストして水分を飛ばしたところへ、トマトソースを多めに塗ったもんだから、パンがソースの水分を吸い込んでグチャグチャに。予想もしなかった異様な代物が出来上がってしまいました…。

 そうか、メンチカツの時はパンを焼かなかったからまだマシだったのか…。ええもう泣きながら全部食べましたよ…うっぷ。

 さて、以上で検証は終了です。本当はこの後さらなる実験として「甘食パンを粉々にしてパン粉を作り、それでフライを揚げてみる」というのを企画してたんですが、さすがにそこまでやると「コネタ」の域を逸脱しそうですし、何より被験者である私の腹がもうパンパンですので(甘食パンを一度に6ヶはさすがに食い過ぎ)、断念致しました。興味がある方は是非ご自分で。

 では、ここで今回のまとめとさせて頂きます。

【結論】

 ①甘食パンは、食パンの代わりとしては、無理して使えない事もないと思われそうな気がしないでもない。

 ②他の食材と併せて使う場合は、生(?)での使用が望ましい。

 ③でも甘食パンのトーストはマジオススメ。

 ④食パンはつくづく偉大だと思う。

0512118 甘食パンにはやっぱり牛乳です。あーおいしー。

 補足①フランスでパンと言えば「クロワッサン」が有名ですが、クロワッサンはオーストリア生まれのパンで、これをフランスに持ち込んだのはかの王妃マリー・アントワネットです。

 補足②「フランス革命」についてもっと知りたい方は以下のリンクからどうぞ。

「フランス革命大解剖 」様


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